ミケくんの話
最近、俺はつくづく甘やかされていると思う。…誰って?そんなの、あいつに決まってる。
それが良い事なのか、悪い事なのかと言われたら……多分、良い事なんだろうけど。
今日も俺、三谷啓吾は一人で生徒会室に遊びに来ていた。
だってさぁ、ねぇ?ここ、冷房も暖房も完備してあるし、お茶に美味しいお菓子もある。
すばらしい、生徒会室という名のパラダイスでなのある。
ふぅと、お茶を飲みながらまったりしていた。すると先ほどまで会長席に座って仕事をしていた孝介が俺の隣に座った。
「啓吾…」
ぐいと肩を孝介に押され、生徒会室の高級そうなソファに押し倒された。
僅かに体が沈むがそれがまた心地よい…ってチガウチガウ。
俺は、ホモではない。
男に押し倒されても恥ずかしくもなんともないはず、だったのに。
「こ、孝介!!ちょっまっ」
「待てない」
こ、このわがまま王子!!
俺が全力で抵抗しているにも関わらず、孝介にはそんな抵抗まったく効かない。まるで赤子のように些細な抵抗なんだろう。
俺のカッターシャツに手を入れて、脇腹を触れるか触れないかの程度でなでていた。
「や、やだってば!」
熱くなる頬を見られたくなくて、横を向いて孝介の胸板を押した。
「啓吾…」
あああ、そんな甘い声で俺を呼ぶなぁああ!!
なんなんだ、押し倒されてシャツの中を弄られ、挙げ句の果てには…
「啓吾、好きだ」
「んむ、」
薄い唇を押し当てられて困惑する。
だって俺、女の子とかアキとかみたいなふっくらしてて可愛い唇じゃないし、キスしたってなにがあるわけでもないのに。
それでも、
「(だめだ、心地良い)」
そう思ってしまう俺がいるんだ。
末期か、末期なのか。
「啓吾、」
「ふぁ、孝介…」
こうやって、冷徹冷静冷酷と知られる生徒会長、泉川孝介様々が俺だけに甘く微笑みかけるのも、悪くはないな、と思ってしまうのであった。
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