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06


「秋人と啓吾、とその友達三人がどっかの馬鹿共に連れてかれたの」

「隣町にある廃棄ビルに居るみたいですよ」

「………は?」


二人の言葉に天馬は普段は絶対に見せない間抜けな表情をしていた。
この表情、秋人に見せてやりたい…椿は密かにそんなことを思っていた。


目の前で固まる天馬を哀れに思ったのか、今まで店の外にいた大地と翼が店の中に入ってきて、椿と小町の前に立った。


「ね、姉ちゃんたち!そんないきなり!ちゃんと説明しないと!」

「そうだよ!」


必死に天馬に内容を伝えようとする弟たちを見て姉たちは和んでいたとかそうじゃないとか。

本人たちは気づいていないが、大声で話をしていたらしく奥の部屋にいた四人も出てきた。


「それ、どーいう事なわけ?」


英二が一番に口を開く、他の三人は険しい表情でそれを無言で見ていた。

「えと、まじなんです!俺の友達が見たんです!アキ兄たちが変な男に捕まってるとこ!」


徐々に覚醒してきた天馬はその言葉に盛大に舌打ちし、近くにあった椅子を蹴り飛ばした。



「どんなやつらか分かるのか?」

眉間に皺を寄せ、険しい表情をしながら翼に聞いてきた。翼は多少ビクつきながらも携帯を五人に差し出した。写っていたのは友達から送られてきていた秋人が連行されている場面だった。



「確か隣町の廃棄ビルだったな」

「うん、そうそう。あ、待ってよ車で送っていってあげるから…安全運転じゃないけどね」


天馬の問いに椿が答える。そしてすぐに店を出ようとする五人に椿がにっこり笑って店の外に止めてある黒塗りのベンツを親指で差した。




「さあさあ、愛しの姫たちを助けに行きましょうか!王子様方!」

「白馬じゃ、ないですけどね」




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