憂鬱らばあ






「なまえちゃん、消しゴム貸してくれへん?」


『うん、いいよ。はい!』


「おおきにー」



改めて思う。


あぁ、格好いい。

なんで白石君ってこんなに格好いいんだろう。


勉強・運動は学年トップといっていいほどだし、その上容姿端麗なんて…それは、よく理想が高いと言われる私でも好きになっちゃうほど。



そんな白石君は、平凡な私には、すごく遠い遠い存在だった。



でも、1ヶ月前の席替えで隣の席になって、下の名前をちゃん付けで呼ばれるぐらいまで仲良くなった。


私の気持ちも仲良くなると共にどんどん大きくなっていって、今や授業なんて集中できない。(危ない人とか言わない!)



「今から席替えするぞー」



…え。


教室から入ってきた担任の言葉に私は耳を疑った。


え?席替え?
今席替えっつったかこのやろう←


や、やだやだ!したくない!
という私の思いとは裏腹に、いつの間にか話は進んでいて、私がくじを引く順番になった。


―お、お願いっ
白石くんとまた隣に―っ







席替え後、私はため息をついて机に突っ伏した。


離れてしまうことは予測していたけど、なにも白石君から一番離れた位置になることないじゃない。


先生のばかやろー。

心の中で先生に悪態をつきながら落ち込んでいると、鞄の中で携帯が震えた。



『(誰だよー…こんなに落ち込んでる時に…)』


そう思いつつ、携帯を開くとそこには非通知メール1件、の文字。


非通知なんか珍しいなあとメールを開く、と



【なまえちゃーん。俺やで、分かる?白石蔵ノ介。急にメールきてビックリしたやろ?ごめんな。謙也から教えてもろてん。これで席離れてても話できるな!俺なまえちゃんとこれからも仲良おしたいねんけど…ええ?】



え…?


ま、まさか偽物とかじゃないよね!?



ばっと白石君の方を見ると白石君もこっちを見ていて、バッチリ目が合った。


その瞬間、白石君はちょっと頬を染めて、ニコニコしながらこっちに手を振ってきた。


これ、は、


憂鬱らばあ


(席替えある意味グッジョブ)





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