何気なく思う(Deuil)
「ヒヒッ…あはははっ!!ユーリ、それじゃ爆弾おにぎりだヨ〜(笑)」
スマイルは盛大に笑いながら言った。
「む、失礼なっ;」
「というか明らかにお米の量多いデショ?ほら、1個分で大体これ位〜」
「…おぉ、そうか!米の量だな!!どうりで握りづらいわけだ」
いや、原因はそこだけじゃないのでは…
てゆうか普通にそれは気付きましょうよ。
心の中でツッコミを入れつつ、目の前の卵焼きの形作りに専念する。
「………(じーっ)」
「……(汗」
「(…よし!今日も上出来ッス〜☆)」
苦戦している様子のユーリを横目に順調に焼き上がったきれいな色の卵焼きを皿に乗せて冷ます。
「あのさー、ユーリ?」
「話し掛けるな、今神経を集中させている所だというのに!」
や、たかがおにぎり握る位で全神経を集中させなくても…
という言葉は口に出してはいけない。
これはもはやDeuil内における暗黙のルール。
長年の経験から、平和に過ごす為の術を身に付けてきたオレは空気を読んだ。
「さぁどうだ!これで文句無いだろう」
でんっ、とお皿に握った米の塊を置くユーリ。
え、いや、あの…なんて言うか…
いけない。
抑えるんだオレ。
何しろあのthe・不器用なユーリが珍しく料理なんて手伝ってくれてるというのに、ここは決っっっして笑う所じゃな…
「……ぷっ、クスクスクス…」
「なっ、何がおかしいんだ何が!!」
(ちょ、スマァァァァァァァァァァ!!!)
オレがせっかく空気を読んだと言うのに、この宇宙一空気を読まない(読めないのではなくあえて読まない辺りタチが悪い)透明人間が盛大に吹き出した。
「ねぇユーリもしかしておにぎり握ると全部丸になる人でしょぉ〜?」
「う…馬鹿にするな!私だってそこまで不器用なわけが…!!」
「ホントにぃ〜?(ニヤニヤ」
「あ、当たり前だ!フッ、これはわざとに決まっているだろう?」
「ウッソー!?ぜーったい今の本気モードだったし!スマちゃんが教えてあげるヨ〜」
「いらん!!」
てゆーか…
「もー、二人とももう少し静かにできないんスか?」
呆れたような口調こそしてみたものの、もはや見慣れ過ぎてしまったいつもの光景に浮かぶのは笑みだった。
「何を言う。私はこいつのように騒がしくした覚えはない」
「Σ(゚д゚)え〜!僕そんなに騒がしくなんかしてないもん」
「はいはい、分かったからさっさと作るッスよ!手が止まってるッス」
言いながら今度はウィンナーに切り込みを入れ、焼き始める。
まーったく、2人共オレよか年上なんだか幼いんだか…
「ハーイ。お母さん怒らしたら大変だからちゃんとやろうネ★」
お母さ…!?
もはやどこからツッコむべきだろう;
…そう、今日はオフ日で天気が良いからお花見に行こうって話になったんスけど。
いつもは家事をオレに任せっきりな2人が何か唐突に「手伝う!」とか言って…
ちょっとびっくりしたんスけど…てゆうか普段家事なんか一切やらない2人が手伝ったらどうなんのか正直不安だったんだけど…
でもせっかくの好意を断るのも悪いなぁって、思ったんスよ。
だから今日は3人でお花見に持ってくお弁当作りってわけッス♪
まぁ頼んだのがおにぎりだったんでよかったッスね。
包丁なんて持たせたら手切りそうですし…(特にユーリ
スマは意外にも元々器用なんスよね、やらないだけで。
再び作業を開始すること約10分。
テーブルにはオレの作った卵焼きやらたこさんウィンナーやら肉巻きアスパラやら、お弁当の定番おかずと一緒に2人が作ったおにぎりが並んだ。
「どぉ〜?僕達もやればできるデショ?」
「…まぁ形は歪だが、要は味だ」
うん、なんかあからさまにスマの作ったやつとユーリが作ったやつが分か…いやいやいや、2人とも頑張ったッスね!!うんうんd(3ω3;)←
「でもユーリの作ったやつならどんなのでも僕喜んで食べるヨ〜vV」
「どんなのでも…ってどういう意味だ貴様ッ!!」
あぁなんかもう傍から見てると喧嘩にも見えるけどノロケにも見えるッスねこの二人は…(呆
「じゃ、お弁当箱に詰めるッスよ〜」
「オッケ〜!!」
「ん?おまえもなかなか凝り性だな」
オレが取り出したのは和風料理によく合いそうなデザインのタッパー。
せっかく日本の桜を見に行くというのだから料理はもちろん、入れ物もこだわってみたんスよ、と説明する。
「あっ!スマつまみ食いはダメッスよ〜!」
「イイじゃない、いっぱいあるんだからちょっとくらい気にしな〜い☆…った!」
「まったく、食い意地の張ったやつめ…」
パシッとユーリに手をはたかれるスマ。
「ヒヒッ★だってアッシュくんの料理チョー美味しいんだもん」
悪びれた様子も無く笑うスマだけど、何気ないその一言がなんだかすごく心に響いた。
自分の作ったもので人が喜んでくれる事が嬉しくないわけがない。
ユーリもユーリで、スマのようにはあまり口に出して賛辞を言わないけれど、彼は好き嫌いが割りと激しい。
なのにも関わらずオレの料理には文句も言わずにいつも食べてくれている。
それはつまり満足してくれている証拠。
なんだか些細な事なのかもしれないけれど、オレにとってはこうしてみんなで笑い合えることがまるで家族と過ごしてるみたいで…なんだかんだ言いながらも毎日が楽しいんだって、思う。
普段は本当に騒がしくて騒動ばっかりでそんなこと考える暇も無い位だけど…
「なんかさ〜、こうしてみんなで作るのも楽しいネ」
「あぁ、悪くないな」
「たまにはさ、手伝ってあげるヨ★アッスくん!」
まぁ今日のも二人の気まぐれなんだろうけど…
「…?アッシュ、いきなりボーっとしてどうした?」
「オヤオヤ〜?いくらなんでも春の暖かさのせいで立ったまんま寝るとかやめてヨネー」
「二人とも…有難うッス」
にっこり微笑んで言った。
「え、急にどしたのサ〜?そんなに僕達が手伝ったの感動した?」
「いや、なんでもないッス!じゃ、早速準備して行きましょう」
「「…?」」
顔を見合わせて首を傾げるユーリとスマイルを促し、せっせと出掛ける準備をする。
うん、オレDeuilの一員で本当によかったッス。
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なんか最初はギャグにしようかと思ってたのにいつの間にかほのぼのDeuilにぃぃぃぃぃぃぃぃいぃ○rz
我が家のDeuilは家族みたいに仲良し☆
こんな3人が大好きです。
このサイト本当スマユリ贔屓ですが管理人はアッスくんもちゃんと大好きですよという主張ですね、分かります←
ちなみに時期はずれなお花見ネタなんですが、これは3月当初に書いたお花見SS(間違えて削除したやつ)の番外編です。
(09'6/8)
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