お約束の転校生!?
「こ、こんな適当そうで威厳の無い感じの人が学園長だなんて嘘でしょう…?!」
絶叫を繰り広げたスミレに対し、朝から元気だよなぁ…という目線をする通称神。
「おまえなぁ……とゆうか失礼極まりなさ過ぎだろーが」
「(まぁ、気持ちは分かるッスけどね…)スミレさん、この人が正真正銘、ここの学園長のMZDッスよ!」
「いやいやだからせめて校長と…まぁいい、とりあえず今は急げよ。朝のHR始まってるからさ」
「……ちょ、アッシュくん皆勤賞は〜?」
なんてのんびり口調で問えば焦った表情になる犬くん(あ、アダ名ネ☆)
「……!!!」
効果音を付けるならガーンとか?
「あぁ、俺が言っといてあるから大丈夫だ。何せ今回のことはまたアレだからな……どうにも学校の平和を守る為と言えどアレを此処に置き続けるのは俺としても厄介ものだしよ……」
「じゃぁ、とりあえず…スミレちゃんは医務室へ連れて行かないとだし……」
心配そうな声でジュディが言うが、
「かすり傷くらい、すぐ治るわ。それよりさっさと教室まで案内してちょうだい!」
「ははは…スミレちゃんらしいねぇ…」
彼女はそのまま教室へ向かう元気があるようだ。
どう考えても此処の異常な構造上、来るのが初めてな生徒は案内無しでは迷ってしまう。
その為、無事スミレを教室まで送り、自分達のクラスへろ入る。
とは言ってもすぐ隣の教室なんだけれど。
ちなみにタイマー、ジュディ、マリーはスミレと一緒に隣のクラス。
魔術科は1クラス40人で、3クラスしか無いんだ。
選択する人はまぁ普通科に比べたら少ないからネ〜。
「あー何とか間に合ったっぽいッスね」
「はは…もう、今日は走ってばっかりだネェ」
そんな感じで滑り込みセーフでそれぞれ席に着く。
ガラガラ
「はい、みんな席に着いて!」
教室の入り口から入ってきたのは今学年の担任であろう……ムラサキ先生であった。
てゆうかさ…前々から思ってたんだけどこの学校こんだけ敷地広いし設備も造りも豪華だっていうのに、なんで学校にはお決まりの引き戸?
ヘンな所で古風というか庶民的というか…
「私が今度このクラスを担当するムラサキだ。って言っても授業で教えていたから初対面なわけじゃ無いんだけどね」
ムラサキ先生は淡々とした性格で、どっちかと言うとキャリアウーマンタイプ。
だから女子からも男子からも人気。
挨拶が簡単に済み、2年生は中弛みをしやすい時期だから気を抜かず今まで通り努力を怠らるなだとか特に物珍しい内容もなく進められる。
まぁクラス替えのあった日は大概次の流れは自己紹介だろう。
「じゃあ、次は一人一人自己紹介を…」
ほらネ〜
「と言いたい所だけれどその前に転入生を紹介するよ」
ざわざわ
「え〜!転校生だってぇ〜!」
「どんな子だろうねぇ〜?」
ざわめくクラス内。
まぁ転入生って最初はどこでも騒がれるものだからね〜…
さして興味を示さずに回りのざわめきを聞き流していた。
「静かに!…はい、じゃあ入って来て」
廊下側を向いてそう呼び掛けるムラサキ先生。
ガラガラ…
ざわざわとしていた教室内はどんな子か見ようと、しん…と静まる。
どれ、顔くらい拝見しようじゃないか。だなんて思って向けた視線の先に居た人物に驚いた。
「…ぁ……!」
流れるような銀と、紅……
その姿は紛れもなく、先程の吸血鬼だった。
「ちょー美形じゃん。カッコいいvV」
「ってゆうかすごい美人…」
あちこちで小声でヒソヒソと話す声が聞こえる。
何やら女子からだけでなく、男子生徒も見惚れている様子だった。
「今日からみんなと一緒に授業を受けることになった、転校生だよ。じゃ、簡単にでいいから挨拶してもらおうか?」
先生が促すようにそう言う。
「…2年からこの学園に入る事になったユーリ…です。宜しく…」
あの時から思っていたけど、低すぎず高すぎずによく通る綺麗な声…
「うわー、オレ最初見た時女かと思ったぜ」
などと小声で言う男子生徒の声もチラホラ聞こえたが。
まさにその通りであった。
吸血鬼の一族は皆、獲物を引き寄せる為なのか本当に非の打ち所の無い程に整った容姿をしているようだ。
彼も例外ではなく、まるで造られたかのように繊細で見目麗しいその姿は女性に見紛う程。
とゆうか今までも何度となく間違われたに違いない。
僕も制服見て気づいたからね。
本人がそれを知ったら怒るんだろうけど……
「じゃあ、ユーリの席は…」
先生が周りを見渡す。
そして。
「とりあえず、窓側の後ろの席に座ってもらって、」
窓側。
僕が今座っている席は窓側の後ろから3列目。
必然的に窓側列の右側の通路を彼が通ることになる訳で、彼はこちらを向く。
僕も彼をなんとなく眺めていたら、たまたま目があった。
僕はお得意の笑みで彼に微笑みかけたのだけれど……
「…」
一瞬だけ、あ、という顔をしたかと思いきやすぐにぷいっと、顔を背けられた。
彼はそのまま何事も無かったかのように僕の机の右側を通り過ぎ、後ろの席に着いた。
僕はその様子を頬杖をついたままチラと、横目で見ていた。
なんだかよく分からないけど、僕はどうやら彼のことが気になっているみたいだった。
さっきそこで出会ったばかりでなんの接点すら無いというのに。
なんだろう…。
まぁ、アレだ。
きっとインパクト大だった出会いのせいじゃないかな。
何しろ見た目だってこれまでの自分の人生では見たことの無い美人な訳だし。
それなのに口調は傲慢で自己中でかなり毒舌な感じという。
そんなギャップが強烈過ぎて、だからどこかで彼を無意識の内に気にしてしまっているというだけだ、きっとね。
まさか一目惚れだとか、そういう事は有り得ないだろう。
それにしても、転入生がさっきぶつかったヴァンパイアだとは……
なんだかドラマみたいな展開が少し、おかしかった。
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学園ものといったら窓際の席です←
ちなみに
黒 板
窓 廊下
□ □ □ □ □ □
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・
・
□←スマ
□
□←ユーリ
です!
アッスくんは真ん中らへん。
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