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緊急事態発生!!



走り抜いて、なんとか校舎の門前まで辿り着いた。

「残り1分だねェ…ギリギリ〜♪」


僕達が通ったすぐ後に、門が閉まった。

この門は、魔力で時間になったら自動的に閉まるように設定されてるんだ。

ちなみに、始業のチャイムまでは5分間隔があるから普段なら急ぎ足で間に合う。

でも今日は、新入生の受け付けやらクラス替えの貼り紙を見る生徒やらでごった返しているから、校内アナウンスで呼び出されるまでは教室に入らなくても大丈夫そうな雰囲気。

…走らなくてもよかったんじゃない?

なんて言えばアッスくんは苦笑い。

「まぁ、朝からいい運動になったじゃないスか!」

朝のジョギングよろしく、言い切ったアッスくん。
本当に体力バカだなァ、まったく。と少し呆れる。


あ、ちなみに急ぎ足なら間に合うっていうのは、校舎がそれだけ広いからってコト。
普通科と魔術科で棟が分かれているポップン学園は、敷地も結構なもの。

移動教室などで使う教室は、なるべく密集させてあるらしくそこまで困らないのだけれど、久々に来た校舎は相も変わらずどデカイ屋敷級。

ホント、校長って趣味がよく分からないなぁ…

何せ、自らを“神”と名乗る大物だもんネ。





「アッシュ〜!スマイル〜!おはよー☆」

呼び掛ける声。

タイマー、ジュディ、マリーの3人が手を振りながらやって来た。

「みんな久しぶり〜」

「元気にしてたッスか?」

「当たり前じゃなーい!元気が取り柄だもの!」

と朝からハイテンションにジュディが言う。

3人とも、もともとは普通科に所属する予定だったみたいだけれど、ポップン学園の魔術科の授業は面白いという評判を聞いてこっちに来たんだって。

なかなか強者だよねェ…

「あれ?そっちの子は?」

スミレに気付いたマリーが問い掛ける。

「あぁ、さっきそこで会ったんスよ。道に迷ってて…」

「ちょっと!人の失敗を軽々と口にするなんて!」

そう言って、アッシュを肘で小付くスミレ。

「私の名前はスミレ。いずれは世界を征服する者の名よ!覚えておきなさいっ!!」

ポカンと、した表情になる3人。

しかしすぐに、

「あははははは!スミレちゃんて面白いね〜!」

大笑いになる。
どうやらツボだったみたい。
ま、分かるけどね〜

と、僕とアッシュまで笑いにつられそうになっていると、


「もうっ!失礼ね!人の夢を笑うだなんて〜っ!」

そう言って走り去っていってしまったスミレ。

「あ〜…怒っちゃいましたね…」

「そうなの?ゴメン〜;だって私たちも本気で言ってるだなんて思わなくて」

「まぁ、悪気は無いんだし仕方ないヨ」

それよりも……

「スミレさんが走っていった方向、確か…」

「ウン、裏門の方だよネ…」

「「「えっ?!」」」

「マズいッスよ!早く追い掛けましょう!」

言い終わるが早いか、僕とアッシュは走り出す。

「私達も行くわ!」


まだ、“ヤツ”に出くわしてなきゃいいんだけど…





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