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学生は悩む









「今日も休み、か」
「うむ…連絡が取れないとは心配でござるな」
「学校には連絡入れてるらしいけどね、まつ先生が言うには」



なまえちゃんが学校を休んで早3日。いつものように屋上で昼休みを過ごしながら、ぽつりと元親が呟いた。

そう、なまえちゃんと連絡が取れない。ケータイにメールを入れても返信が無い、電話をかけても電波の届かない場所にあるか、電源が〜云々のメッセージが無機質に流れるだけなのだ。



「体調が悪いってワケじゃなさそうだけどねぇ…あの日は急いで帰ってたし。なぁ元親?」
「あー。つーか佐助、お前まだ根に持ってんのかよ」
「佐助、男が過ぎた事をいつまでも気にしおって。情けないぞ!」
「あの日って言っただけだろぉ?俺様だってそこまで気にしてないよ」



最後になまえちゃんを見たのはあの放課後、誰かと電話で話してすぐ、慌てて窓から帰って行った時だ。そう、窓から!信じられないよあのコ、言っとくけどここ三階だからね?降りてからも走ってたし、ケガしたとかじゃないんだろうけど…っていうか普通はケガするよなぁ。


あのポテンシャルの謎は、いつか俺たちに話してくれるんだろうか。


それは置いといて。なまえちゃんが窓から飛び降りて帰った後、バイト前の憂鬱な時間を、俺は元親を問い詰めることに使った。なんでも、俺がバイトで旦那は部活だからって理由で、暇なら家に寄っていけと約束を取り付けていたらしい。前に借りたハンカチを返すためだとか言ってたけど、ハンカチなんて学校に持ってくれば済む話じゃん?

別にちょっと二人で過ごしたからって、なまえちゃんと元親がどうにかなるとは思わないけどさ…あのなまえちゃんだし。それでも何か癪だったし、元親も俺が聞かなかったら約束のことなんて話さなかっただろう。

俺が一番に仲良くなったのに…とか。変な嫉妬でもしたってのか?はは、俺様ダッセー!













「おはよう」


ざわざわと騒がしい教室。いつもの朝の風景。昨日までいなかったなまえちゃんが、俺の後ろの席に座って本を読んでいた。


「なまえちゃん!」
「なにっ!?なまえ殿!?」


隣の教室から俺の声を聞きつけた旦那が駆け込んでくる。まったく、旦那の耳ってば敏感なんだからー。


「なまえ殿、お久しぶりでござる!」
「久しぶり、今日も幸村は朝から元気だな」
「久しぶり!じゃないよまったく、メールも返さないし電話も繋がらないし…何やってたんだよなまえちゃん」
「ちょっと…用事があって、海外に行っていた。この電話では電波が通じないことを忘れてて」
「海外、でござるか?一体何用で」
「いや、大した用事じゃないんだ」
「3日も学校休むなんて、それでも大した用事じゃないっての?」
「あー、その、うん、」


おもしろいくらい冷や汗を流すなまえちゃん。なんか前にも見た気がする、この光景。これも彼女にとって“言えない話”なんだろうな。俺だって別に困らせたいわけじゃないし、この辺で止めといてやるか。



「まぁいいけどね。って、どしたのこのほっぺた…」
「ぬ?女子が顔にケガなどと!」


正面から見た彼女の左頬、不似合いな絆創膏がぺたりと貼り付けてある。また無茶したの?


「転んだんだ、でも本当にかすり傷で」
「転んだのにほっぺただけケガするなんて器用なコだねぇなまえちゃん?」


にやりと笑って言ってやれば、嘘を吐いていることがバレたことに彼女も気付いただろう。


「ち、小さな傷だったがちゃんと手当てはしてもらったから、本当に大丈夫だ。特別、無茶をしたわけでもない」
「痕は残らぬのか?」
「ああ、ちゃんと消えるって」
「よかったね」


俺も旦那も、気にするとこは一緒だったみたい。女の子の顔に傷なんて残ったら大変だからね。一安心で笑いかければなまえちゃんも笑ってくれた。


「ありがとう」


気に掛けてくれてありがとう、って意味なんだろうけどそんなの当たり前だから返事はしないよ。





「うぉ、なまえ!3日も休んでなに」
「元親ぁ、その件はもう一通り話し終えたから黙ってて」
「な!?」


やっと登校してきた元親は無視無視!








仲間はずれアニキ…笑。不憫だけどいいの、それでこそアニキ!
ちなみになまえちゃんのほっぺは作戦中に金属片でスパっと切れた切り傷でしたね、治療したのは政宗大佐という裏設定。←?

09/10/09

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あきゅろす。
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