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インザオペレーション










「ガルム6、7の両名は基地に到着次第乗艦、作戦室へ向かってください」
「「了解」」







基地内は慌しく出動の準備が行われていて、ヘリの着いたドックも整備と搬入で多くの隊員が行き来している。作戦の大まかな説明はセーフハウスでの準備中に慶次に聞いてはいるが、今回はSRTのほとんどが投入されると言う。つまり、大掛かりな作戦。


艦内に出航の放送が流れ、TDDは基地を離れた。作戦海域までは6時間かかり、今から2時間後からは騒音規制が敷かれる。



「あのヤロ、昨日と言ってること違うんだもんなー」
「状況が変わったのだろう、大佐殿のせいではない」
「わかってるけどさ」



早足で向かった先はTDDの作戦室。各種コンソールや表示板がずらりと並んだ空間にイスと呼ぶには粗末な作り付けの席がある。ここにあらゆる情報を集中させ、作戦の立案や指揮を行う。









「遅ぇ。やっと来たか」
「お前なぁ、東京からここまで何q離れてると思ってんだよ」
「さぁ?忘れたなあ」
「てめっ」
「大佐殿、遅くなりました」




作戦室のコンソールパネルの前に立つ、かちりとした軍服を纏ったこの人。西太平洋戦隊“トゥアハー・デ・ダナン”の上級指揮官、伊達政宗大佐。慶次と同い年にしてTDDの艦長を務める大佐殿は、10歳でマサチューセッツ工科大学を卒業、その後博士号も取得している天才。頭脳もさることながら直観力や洞察力、思考分析能力に優れ、部隊指揮能力の高さを買われて現在の階級に就いているあたしたちの上官。




「元気そうじゃねぇか!大分顔つきが変わったな」
「はっ。体調は良好です」
「上手くやってるか?」
「報告書の通りです」
「…そうか。この作戦が終わったらゆっくり聞かせてもらうとするか」



大佐殿の前で敬礼をするあたしと対照的に文句を垂れる慶次。あたしたちを最後に全員が揃ったらしく、作戦の詳しい説明が始まる。画面に表示された地図とデータを見ながら久しく味わっていなかった感覚を思い出した。



(こうした作戦前の高揚感は久しぶりだ)



今回の作戦の目的は“グァム島米軍基地における開発中の有人人型兵器の奪取”である。


「SRTを攪乱班・制圧班・輸送班の3班に分けて展開、沿岸につけたTDDへの奪取した兵器の移送を第一優先事項とする。班員の選出はガルム1に一任してある。情報部からの報告だと機体は3機、実戦での使用を想定されてはいるがまだ開発途中のシロモノだ、輸送班、性能に過度の期待はするな。まぁ多少の損傷は気にしなくていい。周りの警備が厳しいだろうから制圧班はヘルファイアの携行を許可する。攪乱班は他班より先にアプラ港側から進入、中央の武器庫を目指してそのまま北へ誘導。突入後の各自の行動はプランAの通りだ。疑問点や問題点があれば報告するように」


概要の説明をした大佐殿が操舵のために作戦室を出て行く。それと同時に口を開いたガルム1、ロバート・オリバー大尉は手元の端末を見ながらチームを分けていく。細かい指示が出され、各自の準備のためにその場が解散となった。


「お嬢!」


あたしをお嬢と呼ぶのはオリバー大尉と同じSRTで活動する数名だけだ。振り返ったそこにはいかにも軍人といった立派な体躯の持ち主が悠然と立っている。表情が読み取りにくい人だが、根っからの真面目人間で部下からの信頼も厚い大尉は何かとあたしのことも気にかけてくれる。


「お久しぶりです、オリバー大尉」
「久しぶりだな。体は鈍っていないか?」
「肯定です」
「そうか。日本での任務と平行でお嬢を参加させるのは反対だと進言はしたんだがな」
「問題ありません。ただ少し日本は…あたしには平和過ぎますが」
「退屈か?」
「いえ、退屈ではありませんが戸惑うことも多いです。情けないことに大佐殿の真意もまだ見えません」
「長期戦になりそうだな」
「はい…善処します」












「M9を出すとはな」
「まぁ妥当だろ?相手は開発中とはいえ同じ類のモノなんだろうし」


大尉と話したのは数分間だったが、大尉が苦手だという慶次が先にドックへ行ってしまっていたので後を追ってみるとすでに整備を始めていた。


「なまえ、最近乗ってないし不安じゃないかい?」
「たかが10日ほどのブランクだ、問題ない。慶次こそヘマをするなよ?」
「はいはい!俺の援護がなきゃどっかの誰かさんはすーぐ孤立しちゃうから、」
「信頼しているから」
「嬉しいねえ」


スペックの高いM9に搭乗する作戦では、身軽なあたしはよく先発隊に配属される。今回の攪乱班のように先陣を切って特攻することで危険は多いが、そこを任されるのは上司の信頼があってこそ。慶次もまた然り。正確な狙撃の援護があるからこそ、あたしはM9で戦場を駆ることに不安を覚えないのだ。












・コンソールパネル…艦の制御を行うマザーAI(TDDは人工知能を搭載した潜水艦なのです)と繋がるコンピューターの制御盤
・ヘルファイア…対戦車ミサイルの名称、ミスリルで使用しているタイプは「AGM-114N ヘルファイアII」
・アプラ港…グァム島にある実際の港
・M9…最強の陸戦兵器と呼ばれる人型兵器。高性能なセンサーやAIを搭載しており、搭乗者の動きを読み取って増幅させることによって高い運動能力と瞬発性をもった兵器となる→人が乗って戦うためのロボットです、詳しく知りたい方は(いないかもですが)wikiで「ガーンズバック」を検索してください!←投げたw


ドンパチする軍側を書こうとすると専門用語が飛び交うので、どうしても注釈が多くなってしまう↓
っていうかこれ夢小説か?笑



09/09/25



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あきゅろす。
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