かみさま(猿飛佐助) “はろー、私は神様だ” “君の心を覗かせってもらった” “その願い、叶えてやろう” ど、どんな神様!? こんな漫画みたいなことが本当に起こるなんて。あの人は本当に神様だったんだ。あ、神様にあの人っておかしいね!あの神様は神様だったんだ!(もっとおかしい?) そんなことを考えてるあたしはというと、今現在絶賛片思い中の相手・猿飛佐助くんの腕の中にいます(さらりと言ってるけどこの態勢超はずかしいからね!)。 事の発端はついさっき。あたしのクラスは今日、帰りのHRで掃除当番のくじ引きがあって終わるのが遅くなった。決まった掃除場所は一番楽チンな「廊下」!わぁおあたしラッキー!と思ってさくさく掃除を終わらせて、部活へ行くために荷物を持って教室を出た。教室は3階にあって、廊下の先にある階段をいつも通り降りて部室棟を目指していたのだ。そう、いつも通り! それなのにあたしはあろう事か、階段で足を滑らせた。ぐらりと揺れた視界に映るのは、やたらゆっくりと流れるいつもの景色。何も変わらない階段と下の階の廊下。違うのはあたしの体が宙に浮いているということだけ。 え、え? 焦ってて何がなんだかわかってない自分と、冷静にあぁ落ちてるなぁなんて思ってる自分。思考が落下に追いつけなくなって、あたしは地面とのご対面と共にやって来るであろう衝撃に備えて目を瞑った。 階段の途中に落ちたりしたら、骨折とかするのかなやっぱ。 痛いのはやだなぁ。 あ、あたしまだ皆勤なのに明日学校来れないのかなぁ。 衝撃は、どん! じゃなくて、とん、だった。 「あーぶなかったねー」 頭上で聞こえたその声に驚いて目を開けると、誰かの胸板?いやもちろん制服越しなんだけど、手をついたそこは胸板で程よく筋肉が付いていた。お、男の人!っていうかあたしこの人の声にものすごく聞き覚えが…! 「大丈夫?」 顔を覗き込まれて、見えた相手はやっぱりあたしの想い人だった。 な!なんてこと!そんな!マジで!? ちょ、取り乱しちゃった…。とにかく足を滑らせたあたしを下でうまーく受け止めてくれたのは猿飛佐助くんその人だった。あたしの、好きな人。で、かっこよくて何でも出来て、でも気取ってないところが学年問わず人気で、手の届かない人。 「おーい、俺様の話聞いてる?」 「わ!ごめんなさっ…」 目を見開いて固まっているあたしの顔の前でひらひらと手を振っている猿飛くん。あまりの驚きで心臓はバクバクだし意識飛んじゃいそうだった…! っていうかあたし!いつまで猿飛くんの腕の中にいるの! 「あの、ありがとう、大丈夫です!」 「2組のみょうじさん、でしょ?」 「はい!え、あたしのこと知ってるんですか!?(きゃー!)」 そんな!あたし猿飛くんとの接点なんてないんだよ悔しいけど…ホントに全然これっぽっちもさ。漫画みたく曲がり角でぶつかって「キャ!」みたいなこともなければ、委員会が一緒でーとか、ましてや話しかけたりなんかできない訳で…実際片思いってそんなもんだよ。ねー、そうでしょ?ってあたし誰に話し掛けてるの! まぁとにかくその猿飛くんが…あたしのことを知っていたという事実にめちゃくちゃびっくりしてる。 「下の名前、教えてくれない?」 な! やっとの思いで猿飛くんの腕の中から離れて立ち上がったあたしになんという追い討ちか! そりゃあもう、フリーズしちゃうっしょ。 「ねぇ、ダメ?」 そそそそんなダメだなんてことあるわけないじゃないですか!名前なんかでよかったらいくらでも教えますよ!名前一個しか持ってないけど!(コレ全部心の声だけどね!) にっこり笑顔の猿飛くんに名前を聞かれてしまいました、ちょっとこれどうしましょうって教えちゃうに決まってるじゃん! 「なまえ、です!みょうじなまえ!」 「なまえちゃんか、かわいい名前ー」 「ええぇぇぇ、全然普通です、よ!(きゃーきゃー!)」 とか心の中は台風が来たみたいにビュービュー荒れ模様。恋って人を変えるって言うけど、あたしの場合は心の天気が大荒れになるみたいです。 「なまえちゃん、」 内心焦りまくりのあたしに気付いていないであろう猿飛くんに名前を呼ばれて返事をすると、なんだか熱っぽい視線の猿飛くんと目が合った(えぇぇ!なんか、さっきまでと雰囲気が違う!)。 「さ、猿飛くん?」 「ね、佐助って呼んでよ。なまえちゃん」 わざとなの!?いつの間にか立ち上がったあたしの真横にいて、耳元でふぅって吐息交じりな声を出すさると…佐助くんがすっごく色っぽいんですけど!しかも近くて息がかかる、くすぐったい、恥ずかしい! 「佐助、くん?」 「なまえちゃん、俺様ちゅーしたい」 …え 「いいよね?」 いいよね?って聞いてるくせに答えは聞いてない!みたいな顔して近づいてくる佐助くんの唇から目が離せないあたしは変態かぁー! あたしのファーストキスは想い人!グッジョブ!人生捨てたもんじゃない!って思ってぎゅうと目を閉じる。唇への感触を待っているあたし、に、あれ?何もやって来ないんですけど。 目を開くと、そこは何の変哲もない、あたしの部屋。 うん、なんていうか… 「夢かよチクショー」 09/07/28 ありがちに夢オチ。学パロだったので珍しくきゃぴきゃぴ(死語)した感じにしてみました。疲れた↓ お題をお借りしました。 SCHALK.さま(P推奨) http://schalk.xii.jp/ 増殖する「台詞」お題 01 「夢かよチクショー」 backnext |