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君の手(伊達政宗)










びゅうびゅうと風の音がうるさくて、すぐそこに生えてる大きな木がわさわさと揺れている。いつもなら「寒い寒い!」とかって騒ぎ立てるあたしがこの強風の中黙って歩いているのは、隣で伊達くんがあたしの手をぎゅうと握っていて、その伊達くんのあまりの近さに緊張して声も出ない状態だからだ。



「寒ィな」
「う、うん!寒いね伊達くん」
「…帰るか?」



この心臓がばくばくとうるさい状況から逃げ出したい衝動に駆られているあたしとしては、ここで「帰ろうか」と答えてしまえば伊達くんが手を離してくれて、晴れて自由の身(?)になれるんじゃないかってちょっとだけ思ったんだけど。

どうしようもない心臓は伊達くんと離れて落ち着くことよりもばくばく鳴ることの方を選択してしまった。



理由?



伊達くんが言った「帰るか?」っていう質問の声が、普段の強気な伊達くんからは想像できないくらい弱々しかったから…ってことにしとく。


だってほんとに伊達くんてば勝負事になると目をぎらぎらさせちゃったりする人なんだよ、その伊達くんが伊達くんじゃないみたいに余裕のない声を出すから…あたしは自分から帰ろうなんて言えないわけで。



「えーと…コンビニ行こう?」



寒いって口に出せなくてもやっぱり外は寒くて、短くした制服から出てる足は直接風に晒されている。伊達くんに握られている手と、伊達くんが立ってる側の半身と、恥ずかしさで火照った頬以外は冷え切っちゃっててコンビニで何か温かいものを調達したかった。



コンビニ行こう、って言ったあたしの言葉を聞いた伊達くんは優しく笑って、ここから一番近いコンビニに向かって歩き出した。覗き見た伊達くんの横顔がちょっとだけ嬉しそうに見えたのは、気のせいじゃないといいなあ。



「なぁみょうじ、」
「え、なぁに?」
「コンビニ着いたら手、離した方がいいか?」



俺は離したくないけど。


ぼそりと言った伊達くんとその言葉にまた頬が熱くなるあたし。

なんだこれなんだこれなんだこれ!恥ずかしい!


びっくりしてっていうか、不意打ちで声が出なくなったあたしをちらりと見た伊達くん。あぁ、あたし顔すごく赤いよね。自然と顔は俯きがちになる。



「店ん中明るいし、みょうじが恥ずかしいんだったら離すぜ?」



さっきからずっと緊張して恥ずかしいって思ってるのも伊達くんは全部わかってるみたいで、気を使ってそう声を掛けてくれたんだ。なんでそんなに優しいの!かっこいいくせに優しいなんて!だからモテるんだよね伊達くんって。


って何言ってるのあたし。
すごくテンパってる。


「は、恥ずかしいよ!」
「…じゃあ」
「でも、あたしも離れたくない!から、離さないで」


覗き込むみたいにしてあたしを窺っていた伊達くんが、小さく息を吐いて発そうとした言葉を遮った。自分で言った言葉にまたどうしようもなく恥ずかしくなって目も開けていられなかったけど、あたしの手を握っている伊達くんの手がまたぎゅっと力強くなったのでちょっとだけ安心して目を開けた。



「OK.わかった」



相変わらず綺麗な発音でおーけーって言ってくれた伊達くんは、さっきよりももっと嬉しそうな顔で笑っていた。










なんだこの話↓新年一発目からしょーもない話になってごめんなさい。伊達くんって呼ばせたかったのと、ちょっと初々しい政宗さまが書きたかった、ん、だ け ど な …撃沈


09/01/03


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あきゅろす。
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