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過保護?はぁ?愛故だ。(月愛され)
※花宮さんが苦労人


「もう何なのあいつホイホイすぎるんだけど!」

「ある意味それが魅力なんですし」

「まぁ、花宮さん落ち着いて」

「られるか!」

とあるファーストフード店の一角に、俺を含む男子高校生4人が集まっていた。誠凛高校1年の降旗に秀徳高校1年の高尾、洛山高校1年の赤司、そして俺、霧崎第一高校2年の花宮。共通点と言えば同じ部活で同じポジション。そして今日集まる原因となった、話題に上がってる俺の大事な幼馴染を守るという同盟を組んでいることだ。

「また誰かを落としちゃったんすか、伊月さん」

「聞くか、聞くよな、聞け高尾!」

「ぶふっ…ちょっ花宮さんの必死具合…」

「今回は氷室…火神の兄貴みたいな関係らしいんだけど、その人」

「ああ、陽泉のか」

笑って涙を浮かべている高尾をバシバシと容赦無く叩く俺に変わり、降旗が説明すると赤司が頷いた。確かにゲイ臭い顔をしていたね、と呟きは今は全くもって笑えねぇ。高尾はそれすらもツボに入ったようで笑いすぎてむせていた。ざまぁ。俺も断片的なことを本人からしか聞いていないから降旗の話に耳を傾ける。

「なんかね、前々から火神が先輩のことを話していたみたいなんだけど、それで氷室さんもどんな人か興味を持ってたみたい。部活に来て練習に混ざりながら先輩と仲良さげに話してるんだ…それを見てギリィってなってたのは何人か。先輩が楽しそうだから見てるだけだったんだけど、氷室さんが帰り際に先輩のほっぺにちゅーしていきました」

「あいつはぁぁ…」

「あ、花宮さんが落ちた」

そう、無自覚で無防備、それが伊月俊だ。その影響なのかそうでないのか、保育園の頃から男を落とすことが多かった。けんと、ようすけ、たかし、あと誰だっけ?小学校に上がってからは名前を覚えきれなくなり、中学になると告白の半分は同性からだったらしい。俺は私立中学に行ったからそこら辺の詳しい事情はわからないが、間違いはないだろう…相田から教えてもらった情報だし。

そして現在、高校2年。部活がら他校と練習試合をしたりする中で、俊はそれを発揮していた。俺が知っている限り、あいつを慕っている奴らは両手でも足りない。学校、学年関係なく落ちていった中にウチの古橋と山崎もいたけどそれは全力で阻止した。主に物理的な方法で。

机に突っ伏しながらも、どうやって氷室を諦めさせようか考える。ってかメールでそんなこと全然書いてなかっただろうがあいつ…どうせ帰国子女だからスキンシップが激しい人だぐらいでしか思ってねぇんだろうな。氷室は押しが強そうだから早めに対処しねぇと…明日でも家に押しかけて氷室に悪い印象を与えるような話でもしておくか。

「相変わらずの保護者っぷりっすね」

「好きでやってるんじゃねぇよ」

「でも花宮さんがいるおかげで先輩に迫る危険はかなり減ってるのですごいですよ!」

「…仮にも大事な幼馴染だし」

「ツンとゲスのログアウト…」

「おい赤司聞こえてんぞ」

幼い頃から一緒に遊ぶことが多かったからか、俺は俊に対して耐性ができたようで恋愛対象に見るなんてことはない。普通に好きだけど。たぶん俺は娘を守る父親というのが最も近い気持ちだと思っている。いつも俺の後ろをトコトコ着いて来て、花が咲くような笑顔を向けてきた時は天使が舞い降りたとしか思えなかった。今は色気も含まれてきたから、さながら女神の微笑みってとこだな。それを上目遣いにやられてみろ?一発KOだ。

幸いこのメンバー…同じポジで尊敬しているからこちら側にいる降旗と、その降旗が大好きな赤司、緑間一筋だけど俊のことは尊敬していて大好きだという高尾の3人がいるから、俺としては助かっている。特に降旗、誠凛の奴らからうまく俊を守る大役を勤めている。その調子で守り続けてくれ。

ブブブと携帯が震える。メールは俊からで、内容は「氷室に遊びに誘われたんだけど、真も来ない?」なんてものだった。それを見て、いち早くあいつは潰す、と決心した。1年組がそれを頼もしそうな、それでいて呆れるような目でこちらを見ていたことは俺は知らない。



過保護?はぁ?愛故だ。



(そろそろ俺の胃に穴があきそう)

(そういえばこの前今吉さんにも言い寄られて…)

(俊んんそれだけはやめろぉぉぉ)



――――――――――――


苦労人花宮が書きたかった。幼馴染の苦労人花宮とかすごくおいしい。なんかどこかにありそうな設定ですけどね。

赤降、高緑前提の4人だとかなり私得である。もっといろいろ詰め込む予定だったのだが…(´・_・`)

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あきゅろす。
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