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パスワードにはご注意を!(赤降+α)
それは、1つの呟きからだった。

「ラブホなう(((o(*゚▽゚*)o)))」

文面だけ見たら、これからする行為に胸を高鳴らせている若い輩がなんともなしに呟いたと思うだろう。そうであれば、フォローしている友人に野次られたり応援されながらも何事もなく終わる。しかし、そういう訳にはいかなかった。なぜならこの呟きをしたのは…キセキの世代のキャプテン、赤司征十郎その人だったからだ。

「…赤司君んんん!?」

同じくキセキの世代、幻の6人目と呼ばれていた黒子テツヤ。なんとなくタイムラインを追っていたら爆弾発言が目に入ってきたのである。え、赤司君ですよね、君は何を言ってるんですか、と言うか何をしてるんですか!ここでは無理なため心の中で目一杯叫んだ。あまりのショッキングな出来事に、いつものポーカーフェイスが崩れているのがその証拠だ。

「黒子何したんだ?」

「かっ火神君!大変です降旗君に危険が迫っています!」

「オイそれどういうことなんだ!?フリに何か…」

「赤司君に…」

「は」

「ラブホに連れて行かれました…」

「…マジか」

一緒に飲みに来ていた火神がトイレから戻って来たところにすぐさま黒子は報告した。チームメイトが元チームメイトに犯られる、先ほどの一文でそんな答えを導き出していた。すぐにアプリを閉じて通話画面に切り替え、もちろん相手は現チームメイトの降旗。火神も自分の端末で例の呟きを見ているが、どうして降旗?と首を傾げるだけだった。

「赤司君がそんなところに行くとしたら彼しか思い当たらないでしょう!しかも今朝、会うって呟いてましたし」

スマホを耳に当てながらも黒子は火神に説明する。ワンコールもしないうちに繋がったと思ったら、無情にも電源が入っていないという内容の無機質な女性の声だった。思わず舌打ちをして同じように赤司に電話するも結果は同じだった。

「今頃楽しんでんじゃねーの?」

「火神君は何でそんなに呑気なんですか!?」

「付き合ってんならいいんじゃね?本人達さえよけりゃ。それに赤司だってフリのこと大事にしてんだからさ」

枝豆を食べながら、火神は2人を思い浮かべる。お互いに大事にし合っている彼らなら何も問題はないだろう。赤司と降旗が付き合っているというのはバスケを通じて出会った人はほぼ知っていて当たり前な情報だ。赤司が隠そうとせず、むしろ自慢してくるのだから。そりゃあ高校生で付き合いたての時期はいろいろあったが、過去は過去、現在は現在と割り切っている。

「…まさか火神君に宥められる日が来るなんて」

「黒子テメェ喧嘩売ってんのか!?」

「降旗君、大丈夫だといいんですが…初めてですし」

火神の発言をスルーしながら、見た人みんな同じ行動しているのでは?という可能性に思い至った黒子は、手元のビールと共にため息も飲み込んだ。あの2人の着信履歴は恐ろしいことになっているだろうが、あんな呟きをする方が悪い。明日にでも詳しい話を聞き出そうと好奇心7割、心配3割の決心をするのであった。



「言うことは?」

「謝罪してもしたりません本当にすみませんでしたぁぁぁぁっ!」

騒ぎの翌朝、とあるラブホテルの1室にて男性の叫びが響き渡る。1人はスマホを持って、もう1人は土下座…赤司と降旗だ。土下座をしている方…降旗は涙目で頭を床に擦り付ける勢いだ。

「要するに昨日、ものすごく酔った君は僕のスマホを自分のだと思って、その上…緊張のあまり、自分のプライバシーをひけらかすような呟きを僕のアカウントでしてしまった、そういうことだね?」

「ソウデス」

「この呟きを見た人から電話の嵐だよ…不在着信482件だって、初めて見たよこんな数」

赤司の表情は、怒りというよりも呆れの方が大きかった。それに対して、降旗は持ち前のビビりをフルに発動させていた。ヤバイ、殺される。恋人関係になってからもファーストインプレッションの影響により赤司=ハサミ=オヤコロ☆という方程式が崩せずにいたためそれだけが頭に浮かんでいた。身体中の毛穴から汗が吹き出ているのではないか?というぐらいに降旗は焦っていたのだ。実際、怖すぎて頭をあげることができていない。

「ロックしていたにも関わらず解除できたのは、僕達の記念日をパスワードにしてたからかな…君も同じく設定してくれていたというのは嬉しいよ、とても嬉しい。でもね、これは流石にお仕置き確定だ」

その言葉にばっと顔を上げると、それはそれは輝くような笑顔を浮かべる魔王様基赤司。俺死んだ、それを見た降旗が真っ先に辿り着いた結果だった。その後、2時間近く昨晩のように身体を暴かれていくことをこの時の降旗はまだ知らない。



パスワードにはご注意を!



(あれは僕の可愛い子猫ちゃんのイタズラでした☆って赤司君…)

(降旗君も本当にドンマイですね…)



――――――――――――


いつぞや呟いたネタ。赤司がまともな人になってしまった(´・_・`)

初の3人称ですが書きにくいったりゃありゃしなぃ(´・_・`)

この日が初夜です。なんだかんだでずっと手が出せなかった赤降って大好きなんですがね。

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