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Confusion!!(修正前)
1.
斬り裂き魔の事件から2日後ー
私は、新宿の某高級マンションへと足を運んでいた。


室内に入ると、折原さんが両手を広げて私を迎え入れた。
ただ一言、「おかえり」とだけ言って。

ああ、戻って来ちゃったんだな。

それを聞いた時、ただそう思った。


♂♀


「取り敢えず、君の部屋で話そうか。此処だと波江にも聞かれちゃうしね」


私がコクリと頷くと、折原さんは私の肩を組みながら愉しそうに私の部屋へと向かった。
そして目的地に着くと、かつて私が使っていたベッドに腰掛ける。
私も折原さんの横に座った。


「それで?何から話してくれるのかな?」


彼が笑う。


「……全部、お話しますよ」


そして私は、誰にも話した事のない『過去』の記憶を引っ張り出す。

呼吸が浅くなる。
動悸がする。

でも、私はもう逃げないって決めたから。


「10年前……私は、まだ8歳でした。あの日、母は暴力的になった父親に殺されそうになっていました。私は……唯一の自分の理解者であり、味方であった母を失くすのが怖かった。途轍もなく……怖くて怖くて仕方なかった。だから私は……」


父に気が付かれないように台所から包丁を持ってきた。
何も考えていなかった。
ただ、母を救いたいだけだった。
だから私は、その包丁でー



「……父親を、殺しました」



私に背中を刺された父親は、母親の方に倒れ込んだ。
私がこの時感じていたのは恐怖ではない。
焦燥でもない。
ただー母を救えた事と、父から解放された事に対する安心感だけだった。


「母は、そんな私を見て、怯えた顔をしました。当然ですよね。娘が父親を刺したんですから。
この時、すぐに救急車を呼んでいたら、父は助かっていたんでしょう。でも、母は救急車を呼ぶ事はありませんでした。それどころか……今度は母が私の首を絞め始めました」


おかあさん。
どうして?
どうしてわたしを殺そうとするの?
くるしいよ。
やめてよおかあさん。
何で泣いてるの?
何であやまるの?


「……今考えてみると、きっと母は、私を殺してから自分も死ぬつもりだったんじゃないかって思います。でも、当時小学生だった私は、そんな事知る由もない。怖くなった私は……まだ持っていた包丁で……母親のお腹を突き刺しました」


ただ、夢中だった。
自分の命を奪おうとする母が怖かった。
私は、生に執着していた。
気が付いたら、目の前には血の海が広がっていて、父と母は死んでいた。
そして私の手にはー鈍く光る包丁。


「警察にも連絡が行きましたが、私は正当防衛だと認められた事と、まだ自制が効かない小学生だった事もあって、すぐに釈放されました。
でも……本当に辛いのはそこからだったんです」


学校に行けば、先生も生徒も、私を怯えた顔で見つめてくる。
聞こえてくるのは「アイツは殺人鬼だ」と言う囁き声。
その後、皆の『怯え』は『憎悪』に変わって行き、私は虐められるようになった。


「この親殺し!」

「殺人鬼!」


毎日が罵倒の日々。
先生達も私の事は恐れていたので、虐めなど知らない……否、愛峰珠音など存在しないかのように振舞っていた。


「高校に入ってから、今まで暮らしていた街を離れました。そうすれば、私が殺人鬼だという事は誰も知らないから、私は普通に生活出来るーそう思いました」


高1の頃は、毎日が楽しかった。
友達が出来た。
私は、ようやく平和を手に入れた。
そう思っていた。

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あきゅろす。
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