Confusion!!(修正前)
9.
躊躇いも無く打ち込まれるPDAを見て、臨也は一瞬顔から笑みを消しー次の瞬間、大声で笑い出した。
「……くは、クハハハハハハハッ!こりゃ驚いた!前の事件からまた、随分と人間らしくなったもんだ!
でも、気をつけなよ?君が人間に近づけば近づくほどに、『首』の記憶を取り戻した時のギャップは大きくなるかもしれないんだからさ!」
『そんなのは、首を取り戻してから考えればいい。
……いや、正直な事を言うと、もう別に首は無くてもいいかなとさえ思ってる。
……お前はどうなんだ?』
「……何の話?」
臨也が眉を潜める。
『とぼけるなよ。
お前、珠音に何をしたんだ?』
「……何を勘違いしてるか知らないけどさあ、俺は別に彼女にはなーんにもしてないよ?俺はただ、彼女に質問をして、答えられなさそうにしてた彼女の為に助け舟を出してやっただけ。そしたら、勝手にあの子が出て行ったんだよ」
『どうせろくでもない質問をしたんだろう?』
「そんな事ないさ。純粋に珠音の過去が知りたくて聞いただけだよ。
……ま、答えてくれなかったけどね」
飄々と言葉を紡ぐ臨也に、セルティの苛立ちは徐々に増して行く。
『……あの子を傷付けたら許さないぞ』
「……へえ?随分とあの子にご執心なんだね?新羅に見せたらアイツが泣くかもしれない」
『新羅は関係無いだろう。私はただ、お前に目をつけられたあの子の事を守ってやりたいだけだ』
「……ハッ、俺ってあんたにそんなに嫌われてたんだ。別に君達が心配するような事は何もしてないのに……
まあいいや。斬り裂き魔の情報、知りたいんでしょ?警察やマスコミにも、ネットにも流してないとっておきの情報がある。ぶっちゃけた話、君が来るのを待ってたんだよ」
『? どういう事だ?』
「今回の事件は、君のような魑魅魍魎の世界の話だからさ」
再びもったいぶるように言葉を紡ぐと、臨也はトーンを抑えながら、怪談を語るように情報の本質を語り始めた。
「……罪歌、っていう、一振りの刀を知ってるかい?」
『えッ』
「信じられない話かもしれないけど、かつてこの新宿にあった妖刀でねー」
♂♀
「何、これ…?」
私は、池袋の街を彷徨いながらケータイを覗き込んで思わず呟いてしまった。
今私が覗いているのは、夕べのチャットのログである。
「罪歌」と名乗る者の口調が、突然人間の女性らしくなっていたのだ。
ー1日でこんなに進化を遂げるだなんて……!
やっぱり、本当に「罪歌」は、斬り裂き魔と関係があるんじゃないだろうか?
私はそう思い、「罪歌」について調べてみることにした。
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