Confusion!!(修正前)
6.
私が尋ねるのをやめようと決意した頃、一方の平和島さんはセルティさんが提示した全ての情報を読み終わると、片眉を眉間に寄せながら呟いた。
「なんだこりゃ。ひょっとして俺を疑ってんのか?」
平和島さんのストレートな問いに、セルティさんは静かにヘルメットを横にふった。
そして、PDAにこう書き込む。
『ダラーズのメンバーも、やられたらしい』
「ああ、知ってるよ。俺にもメールが来た」
「あ、私にも来ましたよ」
私がそう言うと、平和島さんは目をぱちくりとさせて私を見つめた。
「お前……『ダラーズ』だったのか?」
「え?はい、そうですけど……」
「……それは、臨也の意志じゃなく、お前の意志なのか?」
恐る恐る尋ねる平和島さんに向かってこくりと頷くと、彼は少し安心したような顔になった。
そして、私とセルティさんに向かって、
「正直、協力はしてやりたいが……俺はサイモンに誘われて入っただけだしな。そこまでダラーズの連中とは深い付き合いがあるわけじゃない。
……浅い付き合いだからこそ、まだ俺なんかが仲間でいられるんだろうけどさ」
と言いながら自虐的に笑い、静かに夕焼け空を仰ぎ見る。
空は必要以上に赤く美しく。
「ちッ。都心の癖に田舎みてえな空しやがって。何様のつもりだ」
むちゃくちゃな事を言いながら、平和島さんはゆっくりと立ち上がり、その場を後にしようとした。
「まあ、悪いな。そういうわけで俺には心当たりがねえんだ。
……セルティ、お前もよ、ダラーズの為にそんなに肩肘はることねえんじゃねえか?無理して怪我だけはすんなよ。
……珠音もな」
するとセルティさんは静かに文章を打ち込んだ。
『ダラーズの為だけじゃないさ。私自身の敵討ちでもある』
「?」
私と平和島さんは首を捻る。
『私もこないだ斬り裂き魔に斬られてね。首を横一線にやられたよ。私が首無しじゃなかったら死んでたところだ』
えっ……
セルティさんも、斬り裂き魔に襲われてたのか……
そして、このセルティさんの一文が、後の運命を大きくわけた。
セルティさんの運命ではない。
私の運命でもない。
平和島さんと、この池袋の運命を。
「バカ野郎……」
「?」
『え?』
「お前それ先に言えよバカ!このバカ!バカって言う方がバカっつーけど俺はバカでいいから言わせてもらう!バカ!先に言えよ!第一こんなところでのんびりしてる場合じゃないだろうがよ!
おい珠音、まさかお前も斬り裂き魔に襲われてたとか言わねえよな?」
平和島さんの剣幕に、私は戸惑いながらも小さな声で言葉を紡ぐ。
「わ……私は……平気ですけど……
でも、斬り裂き魔に襲われてた女子高生と一緒に事件には巻き込まれて……あっ!でも私は斬られてなくて……!」
「よし殺す。絶対殺す。確実に殺す。めらっと殺す」
え?私殺されるの?
後ずさる私を見て、セルティさんが『大丈夫、静雄が言ってるのは斬り裂き魔の事だから』と教えてくれた。
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