Confusion!!(修正前)
7.
「ああああッ!暴力は嫌いだって言っただろうがぁッ!あぁ?俺に暴力を使わせやがって!てめえ何様だ?何様のつもりだ?神か、神気取りか?ああ?」
そして金髪のバーテン服の男は、記者さんを思い切り前へと投げ飛ばした。
このままだと本気で死ぬんじゃないか、記者さん。
それはマズイと思い、平和島さんに声を掛けようかと足を踏み出すとー
「おーい。静雄ー」
トムさんの声が聞こえて来た。
記者の人にとっては、きっとトムさんは救世主だろう。
「……なんすか、トムさん」
「いや、お前がさっき入れてったカップ麺、そろそろ3分経つぞ」
「……まじすか」
それだけ言うと、平和島さんは驚くほどあっさりと記者さんを無視し、まるで何事も無かったかのようにビルの中へと去っていった。
私はそんな平和島さんの後ろについて行く。
後ろをチラリと見ると、トムさんが記者の人に何か言っているのが見えたけど、気にしないようにしよう。
「平和島さん」
私が声を掛けると、彼はカップ麺を食べながら目を見開いた。
「おう、珠音か」
「はい。平和島さん、仕事お疲れ様です」
そして私は彼の横に腰掛ける。
「さっき、凄かったですね」
そう言うと、彼は一瞬表情を険しくした。
「……見てたのか?」
「見てましたよ。格好良かったです」
すると彼は再び驚いた様子で私を見つめた。
「……ハッ、やっぱお前、変わってるよな」
「よく言われます」
「でも、俺はお前の事嫌いじゃねえ」
嫌いじゃねえ。
その言葉が嬉しくて、私は心の中で反芻する。
「……そんな風に言われたの、初めてですよ…」
そう言うと、彼は「そうか?お前は皆に好かれてると思うぜ」と言って、頭をぐしゃぐしゃっと撫でてくれた。
平和島さんの大きな手があったかくて、安心出来て。
私は、微かに微笑んだ。
「じゃ、行くか」
彼はそう言うと、先に外に出て行く。
私も、それを追いかけるようにして、池袋の喧騒の中へと飛び出した。
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