Confusion!!(修正前)
6.
感謝の意を込めたつもりで波江さんにぺこりと頭を下げてマンションに向かおうとすると、波江さんに突然呼び止められた。
「貴方と臨也の間に何があったか知らないし、知りたくもないわ。でもね、貴方がいないと臨也の話し相手をしなくちゃいけないから面倒なの。
私が言いたい事解るかしら?」
「は、はあ……」
要は早く帰って来いと言う事なのだろう。
私だって、あの人の相手をしたい訳じゃ無いのに……
そう思いながらも曖昧に返事をすると、波江さんは颯爽と歩き去って行った。
……私だって、頭の中では解ってる。
自分がどうするべきなのかは。
でも、行動に移せないんだ。
「……ごめんなさい、波江さん」
1番の被害者は、波江さんだと思います。
私は申し訳なく思いながら、折原さんのマンションへ入っていった。
♂♀
ケータイの充電器、ある程度のお金、そして服とパジャマを何着か適当に鞄に放り込んだ私は、折原さんのマンションを足早に出てきた。
そして、取り敢えず、昨日自分をネットカフェまで送ってくれると約束した平和島さんの元へ向かう事にした。
私が平和島さんがいるビルに辿り着いた時、金髪にバーテン服の男は、何か……否、誰かを投げ飛ばしていた所だった。
あれ?
今投げ飛ばされてた人って……
さっきの記者さん……?
「……ッ!ぁッ!ぁぁガっ……ガッ……」
記者さんは声にならない叫びを上げて地面に叩きつけられる。
平和島さんはその記者の男性に近付いて、静かな声で言葉を紡いだ。
「俺が立ち去ろうとしたのは」
ーああ、平和島さん、怒ってるな……
「あんたがつまんなそうに質問すっから、ちょっと俺、キレそうになったんだよなあ。
だから、あんたを殺しちまわないように、とっとと場所を後にしてたんだよ」
今の彼の言葉には、力があった。
こんな時、平和島さんにはサングラスが驚く程似合っている。
記者の人が意識を失いそうになると、平和島さんは彼の襟首を掴んだ。
「……誰が寝ていいっつった?」
彼が静かに言う。
っていうか、今更だけど、何で記者さんは平和島さんの所にいるんだろう……
「俺をわざと怒らせようとしてたんだろ……あぁ?俺だって馬鹿じゃねぇんだ。そんぐらいは解る。
だけどな。それが解ってたからって、怒らないわけじゃあーねえんだ……」
ー記者さん、御愁傷様です。
私は心の中で彼に向かって手を合わせた。
「挑発にのって怒ったら負け?
ああ、負けでいい。負けでいいさ。この勝負、負けても俺はなんにも損はしねえからなあ?
それに、俺に勝ったお前をこれから殺すしな……」
そこまで言った瞬間ー
「あぁぁああぁぁぁあぁぁあああぁあぁぁあーッ!」
叫びをあげた。
記者の男性が、ではない。
路地に響き渡る雄叫びをあげたのは、他ならぬ平和島さんだった。
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