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Confusion!!(修正前)
4.
「平和島さん、仕事帰りですか?」


私が尋ねると、彼は頭をガシガシと掻きながら


「いや、実はまだ途中なんだ。またすぐに行かなきゃなんねえ」


と言った。

そう言えば、平和島さんって何の仕事してるんだろう……

そう思った時、トイレから出てきたドレッドヘアーの男の人が平和島さんに近づいて来て彼に呼び掛けた。


「おーい静雄ー。
俺の分も注文……って、あれ?」


そしてドレッドヘアーの人は、疑問に満ちた表情でまじまじと私を見つめる。
私は慌てて自己紹介をした。


「あっ、私は平和島さんの知り合いで、愛峰珠音と言う者です」

「へえー。珠音ちゃんか。静雄も隅に置けないなあ。こんな可愛い子と知り合いだったなんて……
ああ、俺は田中トムって言うんだ。トムで良い。宜しくな」

「此方こそ……宜しくお願いします、トムさん」

そう言って頭を下げると、トムさんは私にニッコリと微笑みかけてくれた。


「あ、あの……
トムさんと平和島さんは、仕事仲間ですか」


私が尋ねると、平和島さんが


「ああ、トムさんは俺の中学の時の先輩で、今の仕事の上司なんだ。俺達は出会い系サイトの料金の取り立てをしてんだ」


と説明してくれた。

いつも平和島さんには解らない事ばかり尋ねていて少し申し訳ない。


「んな事より……お前、こんな時間にこんな所にいていいのかよ?」


突然、平和島さんが私にそう問いかけた。


「?」


敢えて知らない振りをすると、平和島さんは溜息をついて、「あのうざってえ嘘くせーノミ蟲野郎の所に帰らなくていいのかって聞いてんだ」と若干イライラしながら再び私に質問をした。


「ああ……いいんです。
今、ちょっとした反抗期なので」

「でも、お前帰るとこあんのかよ?」

「ありませんけど……なんとかします」

「なんとかって……お嬢ちゃん、それはちょっと心配だなあ」


トムさんが苦笑混じりに言う。


「大丈夫です。ネットカフェに泊まるので。
それに、バイトすればどうにか暮らしていけますし」


私がそう言うと、取り立て屋の2人は難しい顔をした。


「おい静雄。お前、珠音ちゃんの事泊めてやれよ」

「はあ……俺は別に良いっすけど」

「! 駄目ですそれは。それは駄目です絶対」


平和島さんのとこにお邪魔するなんてそんな恐れ多い事は出来ない。
何より私の心臓が持たない気がする。
だって平和島さんは私の憧れみたいなものなんだもん。
流石にそれを本人に言うのは少々……いや、滅茶苦茶恥ずかしいので、駄目だと言う意志だけを伝える為にすかさず口を挟むが、平和島さんはまだ少し悩んでいるようだ。


「でもよ、女1人でネットカフェ行ったり来たりすんのは、やっぱ危ねえんじゃねえか?」

「それでも駄目です。皆さんに迷惑かける訳にはいきません。
これは私とあの人の問題ですし……」

「そりゃまあそうだけどよ……
でも、俺は迷惑だなんて思ってねーし」


そう言って苦々しい表情を浮かべる平和島さん。

暫くその場には沈黙が続いたが、それを破ったのは私の溜息だった。


「……じゃあ、ネットカフェまでついて来て頂くのだけ……ってのはどうですか。それ以上の迷惑はかけられませんから。私がネットカフェに着くまで私を見張っておけば安心でしょう?」

「……まあ、それなら……」


私の提案に、2人は渋々と頷いた。

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