Confusion!!(修正前)
1.(×2〜)
『ダラーズ』の件から数ヶ月が経ち、私も新宿での暮らしに慣れて来た。
でも、1つだけ解らない事がある。
何でー
「何で波江さんが折原さんの秘書になってるんですか……」
波江さんー本名、矢霧波江。
『ダラーズ』の件が終わるまでは、矢霧製薬の第六開発研究部の主任をしていた、筈だった。
それがー
ある日、一緒に朝食を食べていた時に、突然折原さんにこう言われたのだ。
「今日から秘書が来るから昼食は作らなくてもいいよ」
と。
それを聞いた時は、特に何とも思わなかった。
折原さんだって、1人で仕事をするのはやはり大変なのだろうとしか思わなかったのだ。
でもーその日の朝、部屋に入って来たのは波江さん。
ー矢霧製薬の波江さんが何故こんな所に?
そんな疑問を抱える私に目も暮れず、彼女は淡々と仕事をこなし始めた。
折原さんに問い詰めても、この件に関しては何も答えてくれない。
情報料を払おうかとも思ったがかなり高額だったので諦めた。
前にも1つ貸しを作ったのに、今回も作るわけにはいかないし。
本人に恐る恐る尋ねたら、「貴方には関係ないわ」とスッパリ切られてしまった。
そんなこんなで、私は未だに波江さんが秘書になった理由を知らない。
♂♀
「ねえ、珠音」
昨日、折原さんが私に言った。
「何ですか」
「君って今何歳?」
「……18ですけど」
ああ、何だか嫌な予感しかしないのは私だけだろうか。
「そうだよねえ。
ねえ、18歳ってさあ、まだ学生じゃなかったっけ?」
「……高校は義務教育ではありませんよ」
「そりゃ正論だ。
でも、君はこっちに来る前には高校に通っていた訳だから、こっちに来てからも高校に通いたいんじゃないかと俺は考えたのさ」
警報警報。
折原さんが何か企んでます。
「……あの、仰りたい事が良く解らないのですが」
「解ってる癖に。
単刀直入に言おう、来良学園に転入出来るようにしておいたよ」
……ああ、やっぱり。
どうせそんな事だろうと思った。
「……いつから通えば良いんですか」
「明日」
「ッ!?
あ、明日!?」
ちょっとイキナリすぎないかそれ。
私が放心状態でいると、折原さんはお腹を抱えて爆笑し始めた。
「アハハハハハ!珠音が心底驚いてるだなんて、明日は槍でも降るんじゃない?」
「わ、笑わないで下さい」
少しムッとしてそう言うと、折原さんは「ごめんごめん」と私に謝った。
「あの、私一応貴方の所でバイトしてるって肩書きですよね?
それなのに……良いんですか、高校なんか通っても」
「別に構わないよ。波江が来る前と帰った後に家事をやってくれればいいだけの話だからさ。
それに君だって、波江が秘書になってから、仕事が減って暇してたでしょ?だったら昼間は学校に行った方がいいんじゃない?」
折原さんの言う通りだ。
私は波江さんが秘書になってからと言うものの、仕事が減ってかなり暇だったのだ。
「……折原さん、エスパーみたいで怖いです」
私がそう言うと、折原さんは「うん、よく言われる」と言ってにっこり微笑(わら)った。
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