Confusion!!(修正前)
5.
「解らないな。
俺の事が嫌なのに何で一緒に食べたいだなんて言うんだい?」
「それは……」
私は少し口ごもる。
「貴方はもう知ってると思いますけど……
私は、いつも1人だったから。
だから……たとえ貴方みたいな人とでも、誰かと食事を共に出来る事が嬉しいから……」
「……だから、俺が帰ってくるまで待ってたの?」
その問いにコクリと頷くと、折原さんは突然私の方に向かって近づいて来た。
え、何これ私死亡フラグ?
折原さんは固まる私に構う事なく私の隣に腰掛けーグインと私の腕を自分の方に引き寄せた。
「う、わっ!?」
不可抗力でボスンと飛び込んだその先はー折原さんの胸の中で。
気が付いた時には、折原さんの匂いが私の鼻腔を擽(くすぐ)っていた。
「お、折原さ」「そうやって、普段から思ってる事ちゃんと言えば良いのに。その方がまだ可愛げがあるよ」
そう告げる折原さんの口調は、心無しかいつもよりも人間味に溢れていて。
私は、いろんな意味で思考回路がショートしそうになった。
唯でさえ変な事をカミングアウトして顔から火が出そうなのに……
こんな風に優しくされたら、尚更顔の熱が下がらないじゃないか。
折原さんは狡い。
冷徹な言動で私を怒らせたかと思えば、こうやってホントに時々優しくしてくれる。
だから嫌いなんだ、私は。
「……そんな事したって、」
「?」
「そんな風に優しくしてくれたって……私、貴方の事なんか、絶対好きにはなりませんから」
「……良いよ。別に君に好かれたい訳じゃないから」
それから、私達は暫くそのままの格好で互いに何も話さず寄り添い合う。
そのまま、ただ時間だけがゆったりと過ぎ去って行った。
人肌にちゃんと触れたのはいつぶりだろう。
この間初めて折原さんと出会った時も彼に抱き締められた事はあったけれど、あの時はただ折原さんが興奮のあまりそのような行為を行ってしまっただけで、そこに優しさや友愛などといった類の感情は存在しなかった。
でも、今の私と折原さんの間には、愛とまでは行かずとも、それに似たようなものがある気がする。
彼の温もりがじんわりと伝わって来て、恥ずかしいようなーでも、心地良いような……そんな気分に駆られていた。
♂♀
そして、不意に折原さんが私から手を離し、今度こそ浴室に向かって歩き出す。
それがちょっとだけ名残惜しいと感じてしまった私は何なのだろう。
去りゆく彼の背中にそっと手を伸ばそうとしたその時ー
「ああ、そうだ。珠音、」
再び彼が此方を振り向いた。
「君ってさ、自分のPC持ってる?」
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