Confusion!!(修正前) 4. ところが、折原さんは突然立ち止まって帝人君の方を振り返った。 ホント、彼は何処まで気紛れなんだろう。 自分で勝手に歩いたり立ち止まったりするのはいいけれど、人を巻き込まないで欲しい……。 私の思いは折原さんに届く事なく、彼は、帝人君に思い出したようにこう付け加えた。 「俺は、君をネット上でもずっと監視してたんだ。 ……いやー、『ダラーズ』なんてアホな組織を立てる奴、どんなのか一度見ておきたかったんだよ。じゃ、頑張れよ、田中太郎君!」 たっ…… 田中太郎……? 典型的ではあるものの、今時の人間にはいなさそうな人の名前だ。 その名前を言われた時の帝人君は、最初はポカンとしながら狼狽していたが、その後何かに気が付いたようで、酷く驚いた顔をしていた。 私は、本当は帝人君に挨拶したかったのだけれど、折原さんに手を掴まれていた為彼から離れられず、帝人君に話し掛けられないでいた。 ♂♀ 「あの…まだ帰らないんですか」 私は折原さんにそう尋ねる。 私としては早く帰りたかった。 この情報屋に聞きたい事が沢山あるし、何より早く帰ってもう寝たい。 「まあ、そう言わずにさ。あと少しだけ付き合ってよ。珠音も興味あるでしょ?あの首に傷がついてる女の子の事とかさ」 そう、それは私も気になっていた。 先程からニット帽を被ってミニスカートを履いている女の子がいるのだがーその子の首の周りには、ぐるりと円を描くように傷跡が残っているのだ。 まるで、首から上のパーツを、後から下半身にくっつけたみたいに。 「そりゃ、興味はありますけど……」 私がそう言った時、門田さんや遊馬崎さん達が「なにをやってるんだ?」と言って帝人君の方へ向かう。 「?」 私は何が起こっているのかさっぱり解らず、取り敢えず帝人君の方を見つめた。 するとそこには、帝人君と首に傷がついてる女の子、そしてメスを片手に持った高校生位の男の子がいて、帝人君とその男の子が何やら話をしていた。 「ほらね?面白い事になりそうでしょ?」 折原さんは勝ち誇った様にそう言って私にクスリと笑いかけると、「行くよ」と言ってまたまた私の腕を引っ張り、彼らの方に近づいた。 「やだなぁー愛の力は誰にも止められないんだよ?」 帝人君と話していた男の子が言う。 そして、高く掲げたメスをクルリと回し、帝人君に向かって語気を強めていった。 「それに引き換えさ、お前はなんだよ? さっきも今も数にだけ頼って…… 自分じゃなんの努力もしない、まるで三下の悪役だな。人を好きになった事なんか無いだろ」 「数を集める努力を知らない奴は、三下にすらなれないよ」 帝人君が負けじと言い返す。 そんな彼の言葉にその男の子は苦笑すると、帝人君の体に向けてメスを振り下ろした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |