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Confusion!!(修正前)
3.
私が狩沢さん達と話していると、折原さんが来て、「珠音、いいもの見せてあげる」と言って私の腕をとって歩き始めた。

背後から狩沢さんや遊馬崎さんが「えっ!?もしかしてあの2人ってデキてるんすかね?」
とか
「みのっちとイザイザとラブラブしてるよ!」
とか言って持て囃しているのが聞こえるけれど、敢えてスルーする。


「それで?何処に行くんですか」


私は折原さんに聞いたが、彼は「内緒」と言うだけで何も話そうとしない。
こういう時の彼に色々問い詰めても時間の無駄だと解っている私は、それ以上は彼に言及する事はしなかった。

そして折原さんは、帝人君の元へ近づくとー楽しそうに微笑(わら)った。

ーああ、そう言えば、前にも折原さんは帝人君に用事があるって言ってたっけ。

私はこの瞬間、『ダラーズ』のボスが誰なのか解ってしまった気がした。


「正直、驚いているよ」


折原さんは楽しそうに帝人君に話し掛けるけれど、その顔には汗の一滴も垂れてはいない。
そして、折原さんは少年に対して素直な賞賛を漏らす。


「ネット上で、相当の人数が『ダラーズ』を名乗っているという事は解っていた。
だが、まさか今日突然オフ会……いや、集会をやるなどと言って、わざわざ集まる者がこんなにいるとはね。ああ、人間とは本当に想像以上だねえ」


そう言ってから、折原さんはチラリと私の方を一瞥し、それから再び帝人君に目を向け、静かに首を振った。


「ただー帝人君は日常からの脱却を夢見ているようだけれど、東京の生活なんて1年もすれば日常に変わるよ。更に非日常に行きたければ、余所(よそ)の土地に行くかーあるいはドラッグや風俗、もっとアンダーグラウンドなものに手を出すしかないねえ」


そう言われて、ハッとした表情になる帝人君。
そんな彼の心を見透かすように、折原さんは静かに帝人君に微笑みかけた。


「そっち側にいる人間にとっては、それが日常なんだ。一度踏み込めば、多分3日でそれが『日常』になる。
君みたいなタイプの人間は、それに耐えられないだろう?」

「本当に日常から脱却したければー常に進化を続けるしかないんだよ。
目指すものが上だろうが下だろうがね」


折原さんはそう言ってから、帝人君の肩をポンと叩き、


「日常を楽しみたまえ。
ただ、君に敬意を表してー矢霧波江の電話番号のネタは、特別にただにしておいてやるし、この『ダラーズ』の創始者が君だという情報は売らないでおいてやろう。
君の組織だ。利用したい時は勝手に利用するといい」


と言った。

そして、彼は再び私の腕をとって、セルティさんの元へ行こうとした。
私は帝人君に軽く会釈をしながら、折原さんにずるずると引っ張られていった。

帝人君も、そんな私達にペコリと頭を下げ返した。

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