Confusion!!(修正前)
1.
その後、私は平和島さんに連れられて、川越街道沿いの、とある高級マンションの最上階に来ていた。
「ここに、俺の知り合いの医者がいるんだけどよ……まぁ、変人だし、変態だけど、腕だけは確かだからよ、なんつーか……その、心配はいらねぇから、安心しろ」
平和島さんが私にそう言った。
私が頷くと、平和島さんは満足そうに少しだけ微笑んで、インターホンを押した。
ガチャ、と音がして、中から白衣を着た若い男の人が現れた。
「ああ、静雄か。どうしたの?まぁ、取り敢えず入ってよ。
……あれ?その子は?」
男の人が私をチラッと見た。
「ああ、コイツは……。
……悪りぃ、苗字何だったっけ?」
「愛峰です」
「ああ……そうだったな。
新羅、コイツは愛峰珠音。
あのクソノミ蟲野郎の所に居候してるらしい。
っつっても、珠音はアイツと違っていい奴だけどな」
平和島さんが、私の代わりにそう言ってくれた。
私は男の人に頭を下げる。
「へえ、臨也の……。
ああ、失敬。自己紹介がまだだったね。
私は岸谷新羅。一応医者をしている。まぁ、闇医者だから、表に出る事は滅多にないんだけどね。
宜しく、珠音ちゃん」
岸谷さんが私に挨拶したので、私は「宜しくお願いします」と言葉を返した。
「それで?静雄は何で此処に来たの?」
岸谷さんが平和島さんに尋ねた。
「ああ…その……60階通りに臨也がいて……いつも通りに臨也の野郎をぶっ飛ばそうとしたら、コイツにまで被害加えちまったらしくてよ……それで、治療して貰おうと思って……」
平和島さんが「コイツ」言った時に、私の方を指差しながら、哀しそうに呟いた。
でも……平和島さんは何も悪くない。
アレは、私を巻き込んで転んだ折原さんが悪いだけだ。
私は誤解を解く為に、平和島さんに「貴方は何も悪くないです」と言った。
平和島さんが不思議そうな顔で此方を見てきたので、私は言葉を続ける。
「あの時、確かに私は転けました。
でも……それは折原さんが、自分が転ける直前に咄嗟に私の手を掴んだ為に、巻き添えを食らって転けてしまっただけなんです。
だから、悪いのは折原さんです。平和島さんは何も悪くありません」
「そうだったのか……
クソ、あのノミ蟲野郎、ぜってぇ許さねェ……」
平和島さんは顔に血管を浮かばせながら、「殺す殺す殺す……」とブツブツ呟いていた。
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