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Confusion!!(修正前)
5.
「池袋には二度と来るなって言わなかったっけかー?いーざーやー君よぉー」


金髪のバーテンダーさんがそう言った。

折原さんは相手の事を完全に理解してるらしくー私達の前で、初めてその顔から笑顔を消した。


「シズちゃん、君が働いてるのは西口じゃなかったっけ」

「とっくにクビんなったさー。それにその呼び方はやめろって言ったろー?いーざーやーぁ。いつも言ってるだろぉ?俺には平和島静雄って名前があるってよぉー」


あぁ、本名が平和島静雄だから『シズちゃん』なのか。
平和島静雄さん……か。
よし、覚えておこう。

そう思ってチラリと帝人君の方を見ると、帝人君は平和島さんの名前を聞いた途端に怯えたような顔になっていた。
そんなに有名な人なのかな?
それより、私は平和島さんの顔に血管が浮いている事に驚いた。

人間って、血管浮き出る事あるんだ……。

私が変な所に感動していると、折原さんが平和島さんに向かって再び口を開く。


「やだなあシズちゃん。君に俺の罪をなすりつけた事、まだ怒ってるのかな?
それに、女の子にまで怪我させちゃってさぁ……ホントシズちゃんって最低な男……じゃなくて化物だよね。これだからシズちゃんは嫌いなんだよ」


ーいや、それはアンタが私を巻き込んだからでしょうが……

私は内心で折原さんにツッコむ。


「安心しろ。俺もオメェが大嫌いだ」

「あれ?怪我させちゃった事についてはノーコメント?酷いなぁシズちゃん。それって人としてどうなの?まぁシズちゃんは人じゃないから解んないのかもしれないけどさ」

「うっ……てめっ、いーざーやあぁぁぁ!!」


平和島さんの堪忍袋の緒がキレたらしい。
さっき折原さんに投げつけたゴミ箱を再び軽々持ち上げる。
折原さんは、袖口からナイフを取り出した。


「シズちゃんの暴力ってさー、理屈も言葉も道理も通じないから苦手なんだよ」

「ひっ……」


それまで呆然としていた眼鏡の少女が、銀色に光る刃を見て悲鳴を上げた。
そして帝人君は、そんな彼女に対し、息を呑みながら身振りで必死に『逃げよう』と訴えかけた。

此処は……邪魔しちゃ悪いかな?

私はそう思い、一目散に逃げ去る帝人君と眼鏡の女の子を見ながら、自分はどうしようかと考えていた。

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