Confusion!!(修正前)
3.
私の頭の中で、10年前の光景が、鮮明に蘇る。
頭が痛い。吐き気がする。鼓動が早い。呼吸が浅い。
「あはっ、いいねぇその顔。最高だよ。君、そんな人間らしい表情も出来るんだねえ。
俺はいつもの無表情な珠音よりー」
折原さんの綺麗な顔が、私にぐっと近づく。
「そう言う表情(かお)の珠音の方が好きだなぁ」
「…っ……!」
ヤバイ。ヤバイヤバイヤバイッ。
顔が赤くなってるのが自分でも解る。
ホントになんなのこの人は。
何がしたいの。
私を本気で苦しめたいの?
それともからかいたいの?
「いい加減にして下さいっ!」
私はそう怒鳴りつけた。すると折原さんはちょっと微笑(わら)って「ごめんごめん」と謝り、
「ご飯先に食べてる」
と言ってリビングへ行ってしまった。
案外あっさりと去って行ってしまった彼を見て、私はちょっと拍子抜けしたけれど、
「……私もご飯を食べよう」
リビングへ戻った。
♂♀
「へぇ。オムライス?これ珠音が作ったの?」
「私以外に誰が作るんですか。この部屋には私と貴方しかいないんですよ?そんな当たり前の質問をしないで下さい」
「冷たいなぁ。そんなに俺の事が嫌い?」
「答えるまでもないと思うので早くそれ食べちゃって下さい」
折原さんは何事も無かったようにしてるけど、私は10年前の話をされてかなり動揺していた。
……悟られないようにいつもみたく無表情を作ってるけど。
「あぁそうだ。明日池袋に行くけど珠音も来る?」
折原さんがオムライスを頬張りながら言った。
「池袋?
別に構いませんけど…」
私が答えると、折原さんは満足そうに「そう」と言ってから、「あぁ、それとさ珠音、」と付け加えた。
「なんですか」
「……俺の情報網を甘く見ちゃダメだよ?」
そう言って冷たい笑みを浮かべる折原さんを見て、私は彼に全てを見透かされてる様な気がして気味が悪くなった。
だから私は、
「……食器片付けますね」
その場をいそいそと去った。
その後、折原さんが「……まぁ、もう全部解ってるけどね」と愉しげに呟いていた事も知らずに。
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