Confusion!!(修正前)
1.
折原さんに半ば強制連行されるような形で元自宅アパートを出た私は、新宿にある折原さんの高級マンションに向かった。
それにしても、まだ若いのに何でこんな高そうな所に住めるんだろう……?
聞いてみたかったものの、恐ろしい答えが返って来そうな気がしたので、私は諦めざるを得なかった。
「さ、入って」
「お……お邪魔します」
「そんな他人行儀にならなくても良いよ。これからは此処が、君の居場所なんだから」
若干嘲りを含んだ物言いに、私は下を向いて唇を強く噛み締める。
悔しいのにどうしようもなくて、でも絶対折原さんには屈したくなくて、こんなにも無力な自分に腹が立った。
♂♀
「此処が君の部屋だよ」
そう言って折原さんは私を部屋に案内してくれた。
「じゃあ、後はご自由に。自分の荷物を纏めてもいいしTVを見てもいい。
取り敢えず今の所、君に頼みたい事はないからさ」
こう言って出て行こうとする折原さんに、私は「あ、あの」と声を掛けた。
「何?」
「折原さん、昼食はとったんですか」
「……まだだよ?」
「何か作りましょうか」
そう言うと折原さんは少し眼を見開いて私を見つめた。
私は私で、言ってからしまったと思い顔を顰める。
あんな事を言ったら、まるで私が折原さんに屈したみたいだ。
「……へぇ?珠音が作ってくれるの?楽しみだなぁ。じゃあお願いね」
束の間の沈黙の後、彼はそう言ってにこりと微笑んだ。
てか、珠音って何。
いきなり呼び捨てになったよね?
いや、別に良いんだけど。
「何がいいですか」
「何でもいいよ。俺は基本的に人間が作ったものなら何でも好きだから」
……何だソレ。
♂♀
料理は人並には出来る。
ずっと1人暮らしだったから、自分でも色々作っていた。
今日はオムライスでも作ろうかな。
「折原さん。出来ましたよ」
私は仕事をしていた彼にそう呼びかけた。
「そこに置いといて。後で食べるから」
え……でも……
「冷めちゃいますよ?」
私がそう言うと、折原さんはちょっとビックリしたような表情(かお)で私を見た。
そして、突然「アハハハハハハ」と声を上げて笑い出した。
うん、今確信した。
やっぱりこの人は狂ってる。
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