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Confusion!!(修正前)
1.
チャット画面を閉じてケータイを確認してみると、黒沼君からメールが届いていた。
『明日池袋案内お願いできますか?』とのことだったので、私が快く了承すると、彼は次に集合場所と集合時刻を指定してきた。


「それにしても……」


他にも人が来るって黒沼君言ってたけど、どんな人が一緒に来るんだろう。
黒沼くんの同級生とかかな?

この時私は、まさかあの人達とあんな事態に巻き込まれるだなんて、予想もしていなかった。


♂♀


「出掛けるの?」


翌日。

早々に支度を済ませて部屋を出ようとする私に、この家の主である臨也さんはそう問いかけた。


「後輩に池袋案内を頼まれたので行ってきます」

「……後輩?1年なのに?」

「あー……まあ簡潔に言うと、偶々出会った来良学園の新入生と仲良くなって、その子に池袋を案内してあげるって約束です」

「……ふぅん」


臨也さんの目がスッと細くなる。
まずい、このままだと臨也さん、人間観察と呈して黒沼君の事を調べかねない。
私は一瞬でそう悟ると、慌てて玄関のドアを開けて外に飛び出した。


「偶々出会った子に、ねぇ……」


珠音の出ていったドアを見つめながら、臨也はその言葉を意味ありげな表情で反芻していた。


♂♀


黒沼君が待ち合わせ場所に指定してきたのは東急ハンズの前だった。


「あっ!来た来た!
珠音さーん!」


黒沼君が手を大きく左右に振りながら私の名前を呼ぶ。


「黒沼君!遅くなってごめ−」


私はそう言いかけて思わず止まってしまった。
何故なら、黒沼君と一緒にいたのは−


「み、かど、くんと……杏里ちゃん?」


え、嘘、何で?
何故、よりによってこの2人が此処にいるのだろう。
帝人くんと杏里ちゃんも、私の姿を目に捉えて衝撃を受けたようだった。


「愛峰先輩!?じゃあ、青葉君が言ってたもう1人の助っ人って……」

「はい!珠音さんの事です!
……それにしても、まさか竜ヶ峰先輩と園原先輩が、珠音さんの知り合いだったなんてびっくりですね!珠音さんとはどういった関係なんですか?」

「え、どういったって……普通にただの先輩と後輩の関係だよ?ねえ、園原さん?」

「え?は、はい……」


帝人君の問いかけに、杏里ちゃんがおずおずと頷く。


「元々私と帝人君は知り合いだったの。だからその影響で、杏里ちゃんとも話すようになったんだよ」


私が補足するようにそう付け足すと(但し臨也さんが絡んでいる事は一切言わなかった)、黒沼君は「そうだったんですか!」と何事もなかったかのようにニコリと笑った。
そして彼は、この話は終わりだとでも言うように、すぐに話題の転換をする。


「でも、本当にすみません!折角のお休みを潰しちゃって」

「そんな事ないよ。僕らも暇だったんだから」

「私も暇だったから大丈夫だよ」


私と帝人君の横で、杏里ちゃんもコクりと頷いてみせた。
その後もたわいもない話を続けていると、突然帝人君の周りに怪しげな男達が集まって来る。


「な……何でしょう?」

「君さ、いたよね?こないだ」

「い……いたって、何処に……?」

「俺らが門田とかにボコられてる時、黒いバイクと一緒に廃工場にいましたよねぇ?アァン!?」

「今日は俺ら、黄色い布とか巻いてないから油断しちゃった?」

「!」


この人達……まさか、黄巾族の残党?

私はサッと帝人君の前に出て彼らを睨みつける。


「一体何の用ですか?」


すると男は、私にグイッと顔を近づけて言葉を紡いだ。


「あー、そう言えば君もあの日あそこにいたんだっけ?
……まあいいんだわ。何であそこに君らがいたとかはいいんだわ」

「ただ僕らは一千万欲しいだけだから解ってるっしょ?」

「黒バイクの居場所……テメーらなら知ってるんだろーがアァン!?」


そして男達のうちの1人が、私の鞄をひったくった。


「取り敢えず、ケータイ寄付して貰うぜ」

「! 返してください!」


私は声を荒らげてそう言う。
……とは言え、一応ケータイは自分の洋服のポケットに入っているのだけれど。

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