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Confusion!!(修正前)
1.(×4〜)
黄巾族、ダラーズ、罪歌による抗争が終わり、池袋の街には再び平和が戻って来た。
短い春休みはあっという間に終わりー今日はいよいよ、来良大学の入学式だ。


「入学おめでとう」


私がリビングに入ると、臨也さんがソファーに腰掛けてコーヒーを啜っていた。


「お陰様で」


私もそう言って彼の向かい側に腰掛ける。


「私、本当は大学行くつもりなかったんです。だから、私の背中を押してくれた臨也さんには、とても感謝しています」

「別に俺は何もしてないよ。確かに進学を勧めたのは俺だけど、その後進学の決断を下したのは君自身だろ?
でも意外だったよ。今迄の学校生活で良い思いをして来なかった君が、まさか最終的には進学を希望しただなんてねぇ」

「そうですね。自分でも少し驚いてます。でも、何と無く、学校生活も悪くないかなって思って」


私は多分、羨ましかったんだと思う。
それぞれが色々な葛藤を抱えながらもそれを隠し通し、彼らなりの日常生活を謳歌していた、あの来良3人組が。


「臨也さんは来ないんですよね、入学式」

「うん。生憎今日は忙しいんだ」

「解りました。じゃ、行ってきますね」


私は彼にそう告げると、ドアを開けて外へと飛び出した。


♂♀


来良大学は、来良学園と同じく、池袋駅周辺にある私立大学だ。
来良学園の卒業生は、大抵来良大学に入学を希望するらしい。
聞いた話によると、キャンパスは広々としていて設備も整っており、サークル活動も充実しているので、地元の中高生には人気が高い大学だとか。
そんな素敵な大学で、私はこれから学生生活を営む事になる。
正直、不安もあるし、怖いとも思う。
だけど、そんな感情よりも、高揚感の方がずっと大きくて、私は胸が高鳴っていた。


「よしっ」


通い慣れた池袋駅で降り、大学へ向かって足を踏み出そうとした時だった。

ドンッ。

私は、誰かとぶつかった。


「すみません!大丈夫でしたか!?」


倒れてしまった体操服の女の子にそう話しかけると、その子は黙ってコクリと頷いた。
恐らく高校生位だろう。赤みがかった瞳を此方に向けている。


「……?」


何でだろう。私、この子に会った事がある気がする。

疑問に思っていると、背後から「クル姉〜っ、大丈夫っ!?」という声が聞こえてきた。
振り返ると、そこにいたのは、眼鏡をかけた、一見して文学少女のような女の子。
でも、顔は体操服の子ととても似ている。


「……双子?」


彼女達を見た瞬間、私は思わず口に出してしまっていた。

すると、文学少女系の子が私の方をチラリと見て話しかけてきた。


「あっ!もしかして、クル姉とぶつかっちゃったのってお姉さん??」

「うん。ごめんね、怪我してない?えーっと……」

「私は折原舞流!こっちは私の双子の姉の折原九瑠璃だよっ!」

「……え?折原?」


折原ってまさか、あの折原と同じ?
……いや、まさかね。折原なんて苗字、珍しくも何ともないし。
赤みがかった瞳が臨也さんに似てるとか思ったら負けだ。


「ねーねー、もしかしてお姉さん、イザ兄の知り合いっ!?」

「……」


イザ兄。
イザ兄って言ったよね今。
イザ兄って事は、下の名前が『イザ』から始まるって事だ。


「……確認したいんだけど、クルリちゃんとマイルちゃんのお兄さんの下の名前って、臨也?」

「そーだよ!あはっ、やっぱりお姉さん、イザ兄の知り合いなんだ!ねーね、イザ兄とはどーゆー関係!?彼女!?だったら今すぐ振った方がいーよ!イザ兄のやってる事なんて碌な事ないし、捨てられるより先に捨てちゃった方がいーよ!それで私に乗り換えちゃったりしない!?女の子なら幾らでも募集してるんだ!」

「静(黙って)」


中々騒がしいマイルちゃんに対し、クルリちゃんはスプレーのようなものを吹きかける。


「うわあああ!ひっどいよクル姉!げほっ、ハバネロスプレーはやめて!コホッ、コホッ!」


今のハバネロスプレーだったんだ……
流石臨也さんの妹達、やっぱり只者じゃない。


「えっと……私、これから入学式だから、もう行くね」

「あっ!やっば、私達も入学式だ!行こうクル姉!
お姉さん!最後に名前だけ教えて!」

「珠音。愛峰珠音だよ」

「ありがとー!じゃあねっ、珠音さん!」

「別(さよなら)」


彼女達はそう告げると、手を繋いでそこを走り去って行った。


「……臨也さんの、兄弟かぁ」


臨也さんに双子の妹がいるだなんて知らなかった。
何で教えてくれなかったんだろう。

私は首を捻りながらも、大学に向かって足を進めた。

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あきゅろす。
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