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Confusion!!(修正前)
4.
「やぁ、珠音ちゃん」


折原さんが楽しそうに語りかけてきた。


「あの……もしかして……っていうかもしかしなくても、この部屋解約したの折原さんですよね」

「さぁ?何の事だか」


……確信犯だ。

そうだ忘れていた。
この人は一見そう見えなくてもとても怖い人だったんだった。


「そんな事より、荷物片付けないといけないんだろう?手伝ってあげよう」

「余計なお世話です。私の部屋を解約した人に手伝って貰いたくないですし」

「つれないねぇ。君の大家さんは俺の事を君の彼氏だと認識してくれたのに」

「……すみませんよく聞こえませんでした」

「だから、俺が君のー」「うわあああもう良いですちゃんと聞こえましたから!」


有り得ない。信じられない。
彼氏?
折原さんが?
私の?
何てタチの悪い冗談なのだろうか。


「大抵の子は俺が彼氏だって言うと喜んでくれるんだけど……君は違うみたいだね」

「それはきっと大抵の子がおかしいんです」

「否定はしないよ。やっぱり俺と君とは馬が合うみたいだね」

「私は貴方とは気が合わないと思いますさようなら」

「酷いなあ。折角君の荷物を持ってあげようと思ったのに」


そう言って残念そうに呟く折原さんの手にはー私が最も人に見られたくなくて、且つ最も大切な物ーそう、私の日記帳。


「ちょっと!それ返して下さい!」

「おっと」


私が日記を取り返そうとすると、折原さんは私の手が届かない位置までそれを高く持ち上げてしまった。


「返してよっ!」


何回か取り返そうと試みたけど、何回やっても折原さんは余裕の表情でそれを回避してしまう。
それが悔しくて、私はギリッと歯を食いしばった。
そして再び取り返そうと手を伸ばすとー逆に私は彼に手首を掴まれる。
それも、骨が悲鳴をあげそうな勢いでというおまけ付きで。


「いッ……!」

「良い加減認めなよ。非力な君には何もできないって事をさ」

「ッ……」

「俺を甘く見ない方が良い」


痛みに顔を歪める私に、声を低くしてそう囁く折原さん。
これはもう仕方が無い。
私は溜息をついた。


「もういいですお手伝いお願いします!」

「始めからそうすれば良かったのに」


折原さんはにっこり微笑(わら)った。


♂♀



「手伝ってくれてありがとうございました。それじゃあ私はこれで」


片付けが終わり、手続きを済ませた私は、全身黒ずくめの男にそう言った。
彼に背中を向けた途端に浴びせられた言葉はー


「……珠音ちゃんって馬鹿なの?」


……は。

何なのこの人は。
私を怒らせる天才?


「何で私が折原さんに馬鹿呼ばわりされなきゃいけないんですか」

「君の荷物、半分は俺が持ってるんだけど?」


やれやれ、という様に折原さんは首を振りながら言った。

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