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Confusion!!(修正前)
2.
同時刻 池袋 川越街道沿い 某マンション


「……い、おい、珠音」

「……?」


私がうっすらと目を開けると、静雄さんの端正か顔が視界いっぱいに広がっていた。


「うわぁっ!?しっ、静雄さん!?」

「ッ悪りぃ、驚かせちまったか?」

「いえ、そんな事ないです!私こそごめんなさい、勝手に寝ちゃってたみたいで……」

「気にすんな。それよりお前……ずっと此処にいてくれたのか?」

「はい。静雄さんの治療が終わってから此処に来たんですけど、そのまま寝ちゃってたみたいで……」

「そうか。でも、嬉しかったぜ。ありがとな」


ポンポンと私の頭を優しく撫でる静雄さん。
私は何故か顔が熱くなるのを感じた。


「そう言えば静雄さん、静雄さんのサングラスは……?」


私が尋ねると、静雄さんは辺りをぐるりと見回し、「此処にはねぇな」と言ってからリビングへと向かう。
私も、すかさず彼の後ろへと続いた。


「おい、俺のグラサンどこだ」


部屋に入ると、静雄さんが岸谷さんにそう尋ねた。
私は、ふと誰かから視線を感じて、部屋をちらりと見る。
そこには、何故か杏里ちゃんが硬直して立ち竦んでいた。
そんな私と彼女の様子に気付かず、岸谷さんは呆れたように目の前の男に問い掛ける。


「ていうかさ、静雄さぁ……
君は撃たれて足と脇腹の筋肉の一部が激しく損傷してたわけだけど……なんでもう普通に立って歩いてんの?」

「えっ……静雄さんの怪我、そんなに酷かったんですか」


私は思わず岸谷さんにそう尋ねていた。

「ああ、珠音ちゃんも起きたのか。……うん、まあ、撃たれたんだから結構酷い有様だったよ」


本当に、静雄さん大丈夫かな……

私は不安げに彼を見つめる。


「別に大丈夫だって。立って歩けるもんは歩けんだからよ」


その時、今迄黙っていた眼鏡の少女が、静雄さんに語りかけた。


「あの……静雄さんも愛峰先輩も……どうして……ここに?」

「ん……?あー……ヤベ、誰だっけ」


本気で悩み始めた静雄さんに、私は小声で「こないだ私と一緒に『罪歌』に襲われた園原杏里ちゃんです」と教えてあげた。
そんな私達を余所に、岸谷さんは昨日から今日にかけての経緯を説明する。


「あー……まず、杏里ちゃんが此処にいるのは、一昨日セルティがずぶ濡れになった杏里ちゃんを連れて来たからなんだ。それから、杏里ちゃんは30時間位眠っていたんだよ。んで、杏里ちゃんが寝ている間に静雄が銃で撃たれてさ。足と脇腹に弾丸くらって、バランス崩してすっ転んでる間に撃った奴らに逃げられたんだよ、間抜けだよねぇ」

「……死ぬか?」

「心の底から御免なさい」


静雄さんにひと睨みされると同時に土下座する岸谷さん。


「いやな、最初は雨で滑って転んだんだと思ってたんだよ……。そしたら、なんか腹と足からドクドク血が出ててな。ああ、撃たれたのかって気付いて、じゃあ相手をぶっ殺すかと思ったら……なんなもう、あいつら全員逃げ出しててよ。そしたらトムさんが、医者にいっとかねえと鉛中毒で死ぬとか恐い事言うから……」

「それで、その後私の所にトムさんから連絡が来て、私がここまで走ってきたんだ」


静雄さんの言葉に付け足して杏里ちゃんに説明すると、彼女は納得したように頷いた。


「でもさぁ……」


岸谷さんが語り出す。


「なんでそこで闇医者の俺を頼るかね。君の身体切るのにメスが何本かイカれたしさ」

「銃創ってのは、警察に色々聞かれたりするから面倒なんだろ?だったらお前に頼んだ方が安いと思ってな」


あっけらかんと答える静雄さんに対し、岸谷さんは大きな溜息をつきながら尋ねかけた。


「ていうか、どうするのさこれから」

「決まってんだろ」


岸谷さんの問いに対し、何を聞いているんだと言わんばかりの表情で答えを返す。

それが、私と杏里ちゃんにとってどれだけ残酷な意味を込めているのかも気付かずに。


「俺を撃ちやがった奴とーそれを命令したっつー、紀田正臣って野郎をぶっ殺すだけだ」



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