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Confusion!!(修正前)
2.
ブレザーを脱ぐと、右肩の辺りに何か機械のようなものが付いているのに気がついた。


「! これって……」


臨也さんが言ってた盗聴器?

そう言えば、紀田君と臨也さんが会った時に、臨也さんが私の肩を抱き寄せたような……。
きっとその時に付けられたのだろう。
私はそれに向かって「……臨也さんの馬鹿」と呟くと、近くにあった窓を開けてそれを外に放り投げた。


暖かいお湯にゆっくりと浸かり、シャワーで洗い流すと、嫌な事も悩んでる事もちっぽけに思えてくる。
相変わらず静雄さんの事は心配だし、臨也さんのあの行動も許した訳じゃないけど……
それでも、先ほどよりは幾分か気持ちが落ち着いた気がした。


♂♀


「お風呂お借りしました」


ちょっと大きめのセルティさんのパジャマに袖を通し、彼女に声を掛けると、セルティさんは黙って頷いた。
それから、セルティさんに今迄の経緯を話す。

臨也さんが紀田君に『ダラーズ』のボスが帝人君であるというのを教えた事。
臨也さんは、セルティさんが『ダラーズ』なのだという情報も紀田君に流した事。
その後、紀田君と私が話をした事。(私の過去についてはセルティさんには言えなかったけど……)
紀田君と別れた後に、私のケータイにトムさんからメールが来て、静雄さんが撃たれたと知った事。

臨也さんにキスをされた事は黙っていた。
私の事で余計な心配は掛けたく無かったから。


『そっか……大体の事は解ったよ』


私が話し終わると、セルティさんはすかさずPDAにそう書き連ねる。
そしてその後、


『…珠音、私に話したい事はそれだけか?』


と再び打ち込み、私にPDAを差し出した。

ドクン、と心臓が鳴った。


「……な、何言ってるんですか?言いたい事は全部話しましたよ」

『本当か?本当に、なのか?』

「……はい」

『臨也に何かされたんじゃないのか?』

「!」


どうしてセルティさんはこんなにも鋭いんだろう?

そんな私の心を見透かしたかのように、彼女はこう述べた。


『お前は気付いてないのかもしれないが……珠音は臨也の事になると解りやすいんだぞ?』

「え……」

『臨也と何かトラブルがある時は、お前は大抵暗い顔をしているんだ』

「嘘……」


そうだったんだ……全然気がつかなかった。
でも……セルティさんに迷惑を掛けたくもないし……


『珠音』


セルティさんが大きめの文字でそう打ち込み、私の肩をポンと叩く。


『悩み事があるのにそれを溜め込んでたら……お前はいつか壊れてしまうぞ。私は……お前が苦しんでるのを見たくはないんだ。私達は珠音の事を迷惑だなんて思った事はないよ。寧ろ話してくれなくて珠音が苦しみ続けてる姿を見続ける方が辛い。だから……その、もし私で良かったら、話してみてくれないかな?』

「セルティ……さん……」


なんて優しいのだろう。
今なら、岸谷さんがセルティさんに惚れた理由がよく分かる気がする。

話したい。
セルティさんになら、話してもいいかもしれない。

でも……臨也さんとキスした事は、岸谷さんと静雄さんには知られたくない。

特に静雄さんには。


「……セルティさん、あの……今から私が話す事は、私とセルティさんだけの秘密にして頂けませんか?
特に静雄さんには、絶対に」


私がそう言うと、首無ライダーはコクリと頷いた。
その答えに決意を固めると、私は大きく深呼吸をした。


「私は……」


ゴクリと唾を飲み込む。


「……スされました」

『?』


わざわざクエスチョンマークを打ち込むセルティさん。


「臨也さんに……キ……キス、されました……」


俯く私。
束の間の沈黙。


『は!?』


数秒後、先程よりも更に文字のサイズを大きくしたセルティさんが言葉を紡いだ。

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