Confusion!!(修正前)
1.
池袋 川越街道沿い 某マンション
ピーンポーン。
私は岸谷さんとセルティさんのマンションに着くや否や、すぐにインターホンを押した。
ドアが開く迄の時間ももどかしくて、何回もインターホンを押したくなるけれど我慢する。
暫くすると、岸谷さんが出てきた。
「え?!珠音ちゃん!?どうして此処n」「お邪魔します!」
私は岸谷さんの言葉を無視してズカズカと中に上がり込んだ。
「待って珠音ちゃん!?今は駄目だよ!」
後ろから岸谷さんが追いかけて来るけど、それも無視。
中に入ると、まず目に入ったのはセルティさん。
かなり驚いた様子で『珠音!?なnんでk此処にきktたぁnんだ?1』と打ってPDAを突き付けてきた。
その質問には答えずに、ソファーの方に目を向けるとー
彼はそこにいた。
足と脇腹を血で染め上げ、服も所々ボロボロになった彼がいた。
金髪にバーテン服、細い身体、180cmはあるだろうという身長。
「静雄さんっ……!」
私は彼の元に駆け寄る。
「珠音……?お前、どうして此処に……」
「トムさんが静雄さんのケータイから連絡くれたんです……し……静雄さんが……う……撃たれた…って……」
私の目から涙がポロポロと溢れ出す。
「ぶ……無事で良かった……本当に良かった……」
静雄さんは暫く黙って私を見つめていたが、突然私をぎゅっと抱き締めてきた。
キツく抱き寄せられてちょっと苦しいけど、今はその位ぎゅーっとされる方が安心出来るから嬉しい。
私のシャツに静雄さんの血が付いてしまったけれど、それすらも気にならなかった。
そして、彼がまず紡ぎ出した言葉はー
「ごめんな」
……え?
「ごめんな。心配かけて悪かった。でも、大した事じゃねえから。俺は大丈夫だから。だから泣くな。お前が泣いてるの見るとコッチまで辛くなるからよ……」
「……ぅっ、うっあ……っ……」
静雄さんの言葉が優しくて。
ああ、静雄さんが無事で良かったって心から思えて。
私はいつのまにか、彼の胸の中で嗚咽していた。
「……あの、お取り込み中のとこ悪いんだけどさ、」
突然、岸谷さんが恐る恐ると言った様子で片手を上げる。
「静雄の中に入ってる弾丸取り出さなきゃいけないから、そろそろ離れて貰ってもいいかな?」
「あっ!ごごごっごめんなさい!」
私は慌てて静雄さんから離れ、セルティさんの元へと移動する。
そして、彼女に向かって小声で話しかける。
「お久しぶりですセルティさん。
……さっきは無視してしまってすみませんでした」
『いや、気にするな。それだけ静雄の事が心配だったんだろう?』
セルティさんは片手でPDAを差し出しつつ、もう一方の手で私の背中を優しくさすってくれる。
その仕草だけで、凍てついていた私の心が温かくなってくるのを感じた。
『それで、珠音に聞きたい事があるんだが……』
セルティさんはそう書き掛けた所で、すぐにまたPDAに別の言葉を打ち直す。
『それよりもまず、先にシャワーを浴びてきた方がいいんじゃないか?ずぶ濡れだぞ?』
「え……でもお借りするのはちょっと……」
『無理しなくてもいいんだぞ。なんなら、今日は此処に泊まって行ってもいいし』
「!いや、いくら何でもそれは……」
躊躇う私に、セルティさんはたった一言だけ、こう差し出した。
『静雄の事、気にならないのか?』
「!」
静雄さんの事……
「……セルティさん。一日だけ泊まらせて頂けませんか?」
『了解。
……臨也にも連絡しておいた方がいいかもよ?』
「……そうですね」
途端に歯切れが悪くなった私を見てセルティさんは心配そうにしたけれど、特に深く理由は尋ねてこなかった。
取り敢えず、私は御言葉に甘えてお風呂に入る事にした。
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