Confusion!!(修正前)
5.
その後、臨也さんは、ダラーズがネットで生まれた経緯、セルティさんが確実にダラーズの一員である事などの情報を紀田君に話していた。
でも、紀田君は殆ど聞いていない様子だった。
私も、臨也さんの話の内容を殆ど覚えていない。
臨也さんの話が終わると、紀田君はフラフラと部屋を出て行った。
「き……紀田君!待って!」
私は彼の後を追いかけた。
♂♀
ザアザア、ザアザア、ザアザアと雨が降り続ける。
黒い傘を差しながら歩く紀田君を、私は傘も差さずに追った。
そして、彼の手首を掴む。
「紀田君っ……」
パシッ。
私の手は、紀田君に振りほどかれた。
「あ……すみません、珠音さん」
紀田君が哀しそうに呟いた。
「……ごめんなさい」
私は唐突に謝る。
「ごめん、本当にごめん。
私、沙樹ちゃんと約束したの。
紀田君を守るって。
なのに……それなのに私……紀田君に何もしてあげられてなくて。
ダラーズのボスが帝人君だって事、私も知ってたのにっ……」
何もできなかった自分が悔しくて、そんな自分に腹が立って。
私は、自然と声が震えていた。
紀田君はそんな私を見つめて暫く黙っていたけれど、小さな声で口を開いた。
「……いや……いいんすよ、珠音さん。俺も帝人には正体隠してるんですし、仕方ないって言うか……。
珠音さんが臨也さんと一緒にいるのだって、何か訳がある事なんでしょう?」
「……紀田君、今からお茶しに行かない?」
「……は?今からっすか?」
「うん。私、紀田君に全部話すよ。臨也さんの所でお世話になってる理由。だから、紀田君も教えて欲しいな。臨也さんに何をされたのか。昔何があったのか」
「……いいですよ」
彼は少し迷っていたみたいだったけど、承諾してくれた。
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