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Confusion!!(修正前)
3.
「いやあ、昨日は驚いたよ。まさか君から俺に抱き付いてくるなんてねえ」


翌日の朝、ニヤニヤしながら私に言ってくる臨也さんを見て、私の顔に熱が集まっていく。


「違っ……昨日は……その、色々考えてて……急に人肌が恋しくなったっていうか……いや、そうじゃなくて!
……多分、不安だったんです。
私はみんなの事が好きだから誰が傷ついているのも見たく無くて……でもこのままだと何もかもが壊れてしまうような気がして……色々頭の中がぐちゃぐちゃしてたら臨也さんが来たから縋りたくなったんです。
……昨日の事は、忘れてください」


自分でも、解らない。
何故あの時、臨也さんに抱き付いていたのか。

解らない。


「はいはい、そういう事にしておくよ。
……ああそうだ、昨日竜ヶ峰帝人君から伝言を預かってね。君に感謝してるって、そう言ってたよ」

「そうですか。良かったです」

「ねえ珠音、昨日竜ヶ峰帝人君と何を話したの?」

「別に大した事じゃないですよ。私も彼と同様、抗争は避けたいので、まずは誤解を解く事から始めればいいんじゃないかと言っただけです」

「ふぅん……そう」


臨也さんが腕を組んだ。


「臨也さんは、抗争を起こさせたくて仕方ないって感じですけど……そんな事はさせませんよ。
私は池袋の街が大好きですから。
みんなの平穏を奪うなら……私も貴方に容赦しませんよ」

「……へえ?まあ、好きにすればいいんじゃない?俺は別に、君がどう足掻こうが気にしてないからさ。
それより、学校遅刻するよ?」


臨也さんはちょっと不機嫌そうにそう言った。
私もそんな彼に背を向けて、来良学園に向かって歩き始めた。


♂♀


昼休みに、帝人君が私の所へやって来た。


「先輩、今日、園原さんと正臣、どっちも学校に来てないみたいなんです。
心当たりありませんか?」

「え……?」


私の中で嫌な予感が蠢く。


「……ううん、私には解らないや」

「そうですか……
あの、何か解ったら連絡くれませんか?」

「うん、いいよ」

「ありがとうございます」


そして帝人君は去って行った。


「……」


行かなきゃ。

私は意を決して学校を飛び出した。
今すぐ……今すぐ動かないといけない気がしたから。


♂♀


始めに、来良総合病院へと向かう。

勿論、彼女に会いに行く為だ。


「沙樹ちゃん」


私は部屋に入るなり、そう呼び掛けた。


「……珠音さん?どうしたんですか?」

「いきなり押しかけてごめんね。
あの、沙樹ちゃんに聞きたい事があって……」

「正臣の事ですか?
今日、来てくれましたよ」

「……え?本当に?」


私が目を丸くすると、沙樹ちゃんはちょっと淋しそうに言葉を返した。


「正臣が学校さぼって来てくれるなんて珍しいんですよ。
あんまり……元気なさそうでした」

「……そっか」


私は、沙樹ちゃんから「紀田君を宜しく」と頼まれていたのに彼に何もしてやれなくて、後ろめたい気持ちになる。

その事を謝ると、沙樹ちゃんは「気にしないで下さい」と言ってにこりと微笑みかけてくれた。


「正臣は悩んでます。多分、自分の過去に関する事で」

「それって、黄巾族の事?」


私が尋ねると、彼女は黙って頷いた。


「私、正臣に『逃げられないんだったら、闘って倒しちゃえばいいじゃん』って言ったんです。そしたら彼……『お前との過去についても、闘って清算できるもんならしたいけどな』って言って……どうしてできないの?って聞いたら、『沙樹と闘うなんてできるわけねえって』って言ってました」


沙樹ちゃんは嬉しそうにそう話してくれた。
その表情を見て、私は思わず口を開く。


「……私は、紀田君と沙樹ちゃんの間に何があったのかはよく解らないけど……まだ彼は、紀田君は、沙樹ちゃんの事好きなんじゃないかな。
だから沙樹ちゃんも、絶対諦めちゃ駄目だよ」

「大丈夫ですよ珠音さん。私は、正臣の事信じてますから。諦めてなんかいません。
それに、正臣は戻って来るって、臨也さんも言ってたから……」


彼女はそう言ってから微笑んだ。

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あきゅろす。
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