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Confusion!!(修正前)
3.
残された私達に、帝人君は小さく笑いながら話しかける。


「途中までは一緒に行けばいいのに。そんなに急ぎの用事なのかな?」

「さあ……」

「どうなんだろうね…」

「園原さんと先輩はどうする?今日は、このまま帰る?」

「私は帰るよ」

「そうですね……あの、私も今日はちょっと用事がありますから……」


そして私達は校門へと足を向けた。


「そっか……うん、そうだね。それにしても今日……夕焼けは綺麗だけど、なんか真上にはへんな雲が多く出てるね。あとで夕立ちがくるかもしれないから、気を付けなよ?」

「う、うん…」

「あ、はい……ありがとうございます」


ー帝人君、相変わらず不器用だなあ……

私はほんの少しだけ苦笑いを浮かべる。


「夕焼けが綺麗な次の日は晴れっていうけど、その日の夜はどうなんだろうね」

「そうですね……あ、私は此処で失礼します」

「あ……うん、じゃあ、また明日」

「バイバイ、杏里ちゃん」


杏里ちゃんは信号を渡って走り去ってしまった。


「……」

「……」


……気まずい。

考えてみれば、帝人君と2人きりで話すのは初めてかもしれない……

沈黙を先に破ったのは帝人君だった。


「あ、あの」

「? 」

「その……先輩は、甘楽さん……いえ、折原さんとは、どういう関係なんですか?」

「……どういう関係なんだろう」


私は返答に困ってしまう。


「あの人とは友達ではないし、家族でもないし、増してや恋人同士でもない。
でも、私は臨也さんに依存していて、でもあの人の事なんか尊敬してないし、寧ろ全く好きじゃない。
うーん……ただ『一緒にいる』ってだけかなあ」


帝人君は目をパチクリとさせた。


「そ、そうなんですか……
あ、あの、先輩は、僕が何者なのか知ってますよね?」

「うん、知ってるよ。
『ダラーズ』の創始者、でしょ?」

「やっぱり知ってたんですね……
あの、因みに先輩は『ダラーズ』には入ってるんですか?」

「うん、結構昔から入ってたよ」

「そうなんですか……あの、こんな事を聞くのもアレなんですけど……僕はこれからどうすればいいんでしょうか……」

「……黄巾族との事?」

「はい」

「そうだな……」


私は夕焼けを見つめながらゆっくりと言葉を紡ぎ出す。


「私はね?昨日臨也さんがチャットで言ってたような最悪の状況は避けたいと思ってるよ。私も黄巾族と抗争するつもりは微塵もないし、お互いに誤解してるようだったらそれを解きたいって思ってる。でも、だからといって、黄巾族に乗り込んで行ったらそれこそ自殺行為だよね?だから……うーん、まずは『ダラーズ』の中で誤解を解く事が大事なんじゃないかな。その、状況をよく理解していない私が言うのもなんだけどさ」

「やっぱり、そうですよね……
僕としても、抗争は絶対に避けたいんです。僕はカラーギャングみたいなノリで『ダラーズ』を作った訳じゃないし、僕の理想は、『ダラーズ』の初集会の時みたいな状態に戻る事です。今ならまだ…間に合う気がするから……」

「うん、私もそう思うよ。
あのね、帝人君。
『ダラーズ』を作ったのは竜ヶ峰帝人。
この事実は絶対に変わらないよ。
だからね、帝人君の意志は、『ダラーズ』の意志なんだと私は思うんだ。帝人君の一言で私達は行動すべきなんだと思う。
んー、つまり……帝人君は自分を信じて動きたいように動けばいいと思うよ?帝人君の考えは間違ってないと思うから」


私がそう言うと、帝人君はなんだかスッキリしたような顔になった。


「あ、ごめんね帝人君。私、ここで電車に乗るから」


丁度駅前に出たので、私は帝人君にそう伝える。


「あ、はい。先輩、色々とありがとうございました」

「ううん、いいのいいの。
じゃあ、またいつか」


そして私達はそれぞれ歩き始めた。

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