Confusion!!(修正前)
6.
私と同じ事を思ったのか、女の人達が口を開こうとしたところで、それを遮る様に奈倉さんが大声を出した。
「さて問題です。
第一問。
俺はどうして1番入口に近い所に座っているんでしょう?」
……え?
何、いきなり何なの?
チラリと彼を見てみるとー今の奈倉さんの笑顔はー人間の悪意を煮詰めたようなーそんな顔だった。
「第二問。
このテーブルの下にある、三つの車輪付きスーツケースはなんでしょうか。
ヒント1。このスーツケースの中身は空です。
ヒント2。このスーツケースのサイズは、君達に合わせてます」
「!?」
「なに……これ……」
どうやら女の人2人も異常に気付いた様だ。
っ……
景色が……ぐるぐる回って……見え始めてきた……
あの人……まさかあの人……
「第三問。
君達が三人がかりで俺に向かってくれば助かるかもしれないのに、何でそれができないんでしょうか。
ヒント、ワンドリンクを運んできた時、俺が君達にコップをまわしました」
やっぱりか……
世界が回る回る。
私の意識が薄れていく。
頑張れ私!負けるな珠音!
その時、子守唄のような奈倉さんの声が、暗くなる世界の中に染み込んできた。
「愛だよ。君達2人の死には愛が感じられないんだ。駄目だよ。死を愛さなきゃ。
そして君達には無への敬意が足りない。そんなんじゃ、君達2人とは、一緒に死んではやれないなあ」
「絶対……許さない!殺して……やる……!」
「大変結構。恨む気力があるなら生きられる。
凄いな俺、君の命の恩人じゃん。
感謝してくれ」
女の人は2人とも、意識を完全に失った。
残ってるのは私だけだ。
……と言っても……
そろそろ……限界……
「あー、でも恨まれるのは嫌だな。やっぱ殺しておいたほうがいいかもね?
そう思わない?ー藍ちゃん」
「知ら……ない……」
ここで私に話を振るか……
私は吐き気を堪えながら奈倉さんを睨みつけた。
「あっは、怖いなあ。そんな眼で睨まないでよ。そんな事より大人しく眠っててくれない?」
その言葉を最後まで聞かない内に、私は意識を完全に手放した。
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