04
「よろしく!アル!」
「よろしくお願いします、アルさん」
「ああ、よろしく」
アルクはクレスとミントと自己紹介をしていた。
「あ、チェスターにアーチェじゃないか!ちょうどよかった」
聞き慣れた名前にアルクは背後を見る。そこには見慣れた二人がいた。
「誰だ?コイツ」
「彼はこれからギルドで働くことになったんだ。なんでも、人を探しているらしい」
「そういや4人入ったんだったな」
「アルクだ。僕のことはアルで構わない」
「へぇ?ちょっとカッコいいじゃん!よろしくね!」
そう言ったアーチェを見つめるアルク。
「え、何?あ、もしかして、あたしがあんまりにも可愛いからみとれちゃったとか?」
「いや、なんでもない」
「なぁ、お前、どっかで会ったことねぇか?」
チェスターのその言葉にアルクは目を見開いた。
「あ、あたしも思った!なんでかな?会ったことないよね?」
「ない。が、僕も少し懐かしいんだ」
「不思議な話ですね」
ミントの言う通りだと思った。だが、アルクにとって二人の言葉は嬉しかった。
覚えてなくても、全てがなかったことになったわけじゃないんだ。
「じゃあ、僕はまだ挨拶があるから。またあとで」
「うん!またあとで!」
そしてアルクはホールから移動した。
その先にいたのは、ティアだった。
「ティア、」
小さい声で名を呼ぶ。その声は風にかき消されて届かなかった。
アルクはしばらく無言で彼女を見つめていた。その視線にティアがアルクのほうを向いた。
「あなたが、新しく入った4人の1人かしら?」
「ああ」
「私はティア・グランツよ」
「僕はアルク。愛称はアルだ」
「そう。よろしく、アル」
そう呼ばれた瞬間ズキン、とアルクの胸が痛んだ。
「顔色が悪いわ。具合でも悪いの?」
「いや、なんでもない」
「……おかしいわ。私、あなたと初対面のはずなのに、前に会ったことがある気がするわ」
「僕もだ」
「それに、私、あなたをアルと呼んだ時不思議な感じがしたの。何故かしら」
「僕にはわからない」
「そうよね。ごめんなさい、忘れて」
「謝る必要はない。僕もその違和感は感じた」
「何かしら。まあ、いいわ。よろしくね、アル」
「ああ、よろしく」
「じゃあね」
ティアが歩いていなくなった方向をアルクは見つめていた。
「もう、君はアルクと呼んではくれないのか?」
しばらくティアがいなくなった方向を見つめて、その場を離れた。
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