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03

「つまり、お前達のいた世界にも私や何人かが存在していたのだな」

「そうなるな」

「でもやはり、別の方なのはわかりますよ。記憶も環境も違うのですから」

「なるほど」

クラトスとアルクとルキとサラが話しながら納得している横で、レッドとムヨとネロとフロアとピアンは首を傾げていた。

「つまりはそういうわけです。皆さん、なんとなくわかりましたか?」

「ほ、本当になんとなく」

「俺も……」

「ネロとフロアとピアンには俺が説明しよう。4人はそれぞれ、ここの船のメンバーと顔を合わせてきたほうがいいだろ?」

「はい!助かります、サラさん!」

「ありがとう!」

ムヨとルキが笑ってサラにお礼を言うと、サラは頬を赤らめてそっぽを向いた。

「私も、力になろう」

「この世界でもクラトスは頼りになるな。これからよろしく頼む」

「アル兄はクラトスと仲良かったもんね」

「私も、会ったことはないはずなのに何故だかお前達を知っているような気がしている。何か困ったことがあれば力になろう」

「ありがとうございます!」

「じゃあ私たちは行こうよ!」

ムヨがそう言うとレッドが首を横に振った。

「俺はあとでいいから、三人は行ってこいよ」

「そうですか?」

「なら、僕たちも別行動にしようか」

「そうですね」

「大丈夫?二人はさ、辛いんじゃない?」

「大丈夫ですよ。別人なんですから」

「見た目と名前と性格が同じというだけだ」

「そんなに言うなら信じるよ。別行動にしよう」

「では、皆さん。またあとで」

「またね!」

「失礼する」

アルク、ムヨ、ルキはそう言って部屋を出た。

「どういうことだ?レッド」

フロアがレッドに尋ねた。

「相手が自分を知らなくても、自分は相手をよく知ってる。大切な仲間だったんだからな」

「なのにその仲間達は誰一人自分を覚えていない。お前達は想像出来るか?」

クラトスがそう言うとレッド以外は黙った。

「俺やムヨは、まだいいほうだ。アルだって多分、まだマシだ。一番辛いのはルキだと思うぜ」

「ルキちゃん?」

「アイツ、リッドと恋人だったんだよ。最期の時まで一緒にいた。そんな相手が自分のことをわかってくれないんだからな」

「だが、会ったこともないはずのお前達を、私は何故か知っていた。不思議なこともあるのだな」

「きっと、記憶より強い何かがあるんだね。ぼくらがまだ知らない何かが」

「じゃあ、俺も行ってくる。またな!」

そう言ってレッドも部屋を出た。

「あ、レッド!」

「よっ!イアハート」

「今からみんなに会うの?」

「ああ!イアハートはまた仕事か?」

「うん!」

「あんまり頑張りすぎるなよ?」

「大丈夫だよ!」

その時レッドにはそう言って笑うカノンノが、自分の想い人と重なった。

そしてレッドは無言でカノンノの頭を撫でた。

「頑張りすぎは体によくないからな?気を付けろよ」

「う、うん。わかった」

「じゃあまたな!」

そう言って早足で歩いてレッドは一人になった。

「カノンノを重ねるな……それはカノンノにもイアハートにも失礼だ!」

レッドは壁に寄り掛かって頭を抱えた。

「一体どこにいるんだ、カノンノ……」
























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