01
「ここだろ!」
「え?ここは船だよ?」
「でも俺はここだって聞いたんだよ!」
「船にしか見えないが……」
ネロがクエストから帰ると船の側で騒いでいる4人がいた。
「あ、人だ」
「私が聞いてきますね」
不審に思っているネロに、ピンクの髪の少女が声を掛けた。
「すみません、アドリビトムというギルドはこちらでしょうか?」
「うん。合ってるよ」
「ほーら!俺が合ってんじゃん!」
「船がギルドなのか。珍しいな」
「レド兄の情報が合ってるなんて……」
「みんな、少し黙って下さい!あの、ありがとうございます。ギルドの方でしょうか?」
「うん。ギルドの一員だよ。依頼?」
「まあそんなところだな」
「じゃあ入って大丈夫だよ。ぼくについて来て」
「ありがとうございます!」
ネロの後について4人も船に入った。
キョロキョロと辺りを見回す茶髪の少年と黒髪の少女。それに比べて赤髪の少年とピンクの髪の少女は落ち着いている。
「チャット」
「ご苦労様です、ネロさん。おや?そちらの方々は……」
「え、船長って子供なのかよ!?」
「レッド!」
「失礼だ」
「レド兄のバカ!」
「なんで俺集中放火……」
「失礼しました、船長さん。あ、ネロさんといいましたか?ありがとうございました」
「ううん。いいんだ」
「私はルキといいます。こちらはレッド、アルク、ムヨです」
「僕たちはここのギルドに依頼をしたくて来た」
「そうですか。それで、依頼というのは?」
「人捜し!探してる女の子がいるんだ!」
「捜索ですか。手掛かりはありますか?」
「それが……申し訳ないのですが、全くないのです。なのでこちらで情報を集めていただきたくて。長期になることは覚悟しています」
「報酬は……残念ながらあまり金はない。だが、僕たちは腕に自信がある。ここで見合う金額を払い終わるまで働かせてもらいたい」
「なるほど。そういうことですか」
「これでも私たちは強いつもりです。情報は自分達でも集めるのでどうか力を貸していただけないでしょうか?」
「そうですね……困っている人を見捨てるわけにはいきません!働くことを許可します!」
「ありがとうございます!船長さん!」
「チャットだっけ?よろしくな!」
「アルで構わない。よろしく頼む」
「私はムヨだよ!よろしくね!」
「では、その探してる方の名前だけでも伺ってもよろしいですか?」
「あ、おかえりカノンノ」
「「「「カノンノ!?」」」」
4人は叫ぶと勢いよく振り返った。
「ただいま、ネロ。お客さん?」
「こちらが、カノンノさんですか?」
「はい!私がカノンノです!」
「……違いますね。確かに似てますが別人です」
「私たちが探してる人もカノンノっていうの」
「なるほど。カノンノさんと同姓同名ですか」
「?ネロ、どういうこと?」
「かくかくしかじかなんだ」
「そうだったんだ!私はカノンノ・イアハートです!よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします、カノンノさん」
「よろしく頼む。僕のことはアルで構わない」
「よろしくね!カノンノ!」
「よろしくな…………イアハート」
「ちょっとレド兄!普通にカノンノでいいじゃん!」
「ややこしいだろ!」
「私は構いません!よろしくね!レッド、アル、ムヨ、ルキ」
「改めてぼくはネロ。よろしく」
「では、ネロさんに案内をお願いしますね」
「えっ」
「返事は?」
「…………アイアイサー」
「よろしい!」
「じゃあよろしくな!俺、ちょっと外に行ってくるから先に案内してもらっとけよ」
「あ!レド兄!」
レッドは走っていなくなった。
「すみません、カノンノさん。レッドにとってその、カノンノさんはとても大事な人だったんです」
「あ、いいの!私は気にしてないよ!」
「レド兄とカノンノは恋人だったから……」
「私も、会ってみたいなぁ」
「え?」
「同じ名前のカノンノさんに!」
「……そうだね!さっさとカノンノを見付けよう!」
「じゃあ私は依頼の報告に来ただけだから……行くね」
「うん!」
カノンノが走り去るとレッドが現れた。
「イアハート良い子じゃん。流石カノンノと同じ名前だな!」
「ああ。良い子だな」
「では、ネロさん。案内よろしくお願いしますね」
「うん、ルキが言うなら」
「まあ、ありがとうございます!」
「なんだよそれ〜!ルキに手を出したら許さないよ!」
「?ぼくはそういうつもりはないよ」
「確かにそんな感じがするな」
「いいから早く船の中見ようぜ!俺もうワクワクしちゃって!」
「わかった。まずはぼくの兄弟みたいな人達を紹介するよ」
「はーい!」
4人はワクワクしながらネロについて行った。
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