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バンエルティア号の甲板である二人がすれ違った。

そのうち金髪のほうがもう一人に声を掛けた。

「カイ」

「藤黄か」

「ああ。今帰りか?」

「そうだ」

「そうか。お疲れ。俺は今からなんだ」

「そうか」

「じゃあな」

「ああ」

それぞれ違う方向に去っていった二人を物陰から見ていた人物がいた。

「……サラが、普通に女の子と話したね」

「珍しいよね。サラ君、女の子苦手だもんね」

「だよなー」

見ていたのはネロ、ピアン、フロアだった。

「私も、カイちゃんと仲良くなりたいなぁ……」

「カイって甘いもの好きじゃん。それ利用すればいいんじゃねーの?」

「え?」

「うん、そうだね……あとピアンも忍者になって一緒に修行に行けばいいんじゃない?」

「そ、そっか!」

「何をこそこそしている」

三人の背後から急に声がした。

「カイじゃねーか!」

「噂をすればなんとやらっていうヤツだね」

「チャンスだぞ!ピアン!」

「う、うん!」

「?オレに何か用か?」

「あ、あのねカイちゃん」

「ちゃんなどと言うな」

「じゃあ、カイ君。わ、私たちと修行に行かない?」

「たちってウチら!?」

「え、ぼくも?」

そんな二人を余所にカイはピアンをジッと見つめた。

「お、お菓子もあるよ」

「甘いのか」

「もちろん」

「……少し待っていろ」

「う、うん!」

「よかったね、ピアン」

「うん!」

「じゃあフロア、ぼくらは戻ろうよ」

「なんでだよ!ついて行かねーの?おもしろそうなのに」

「めんどくさい」

「テメェ!ネロ!!」

「あ、もしかしてネロ君眠いの?」

「うん……」

「気合いで起きろ!」

「無理だよ……」

「準備出来たぞ」

「あ、カイちゃん」

「ちゃんなどと言うな」

「カイも準備出来たってよ。行くよなー?ネロ?」

「めんどくさい……」

「ネーロー?」

「ぼく、眠いんだよ……」

「大丈夫だって!戦えば目なんか覚める!」

「鴇と金茶は行くのか?行かないのか?」

「さ、先に行っちゃうよ?」

「行く!」

「ぼくもかぁ……」

フロアはネロを引きずって追いかけた。




「なんでここなんだよ!」

一行が修行に行ったのは獄門洞だった。

「に、忍者といったらなんとなくここかなって」

「フロアは不満?」

「不満っつーか……敵が気味悪いじゃねーか」

「金茶にも女らしいところがあるんだな」

「テメェに言われたくねーよ!」

「ふ、二人とも可愛いよ」

「大丈夫、フロア。ぼくは場所どころか来たこと自体が不満だよ」

「そう思っても言うな!」

フロアが杖でネロを思い切り殴った。

「痛いよフロア……ぐぅ」

「寝るなー!!」

「カイちゃん、私たちで終わらせようか」

「ちゃんなどと言うな」

「ほら、みんな敵いたよ!」

「無視をするな」

「ネロ君も起きて!」

「ピアンが言うなら……」

「なんだとテメェ!!」

「修行じゃないのか?」

「あ、ゾンビこっち来ちゃったよ」

「ほら気味悪い!」

「仕方ないな、ぼく戦うよ」

ネロはそう言って剣を抜いて走り出した。

「鴇が、真面目に戦っている……」

「本気になったらアイツはつえーよな」

「うん。ネロ君、カッコいいよね」

順調に敵を倒していくネロ。

「魔神剣!秋沙雨!閃空双破斬!」

「強いのはいいが、全部倒してしまったな」

「わ、私とカイちゃんの修行なのに……」

「ちゃんなどと言うな」

「ごめんごめん。じゃあ、ぼくは手出ししないよ」

「ウチも仕方ねーから回復ばっかしてるな。戦闘は二人に任せる」

「ぐぅ」

「寝ーるーなー!!」

「あ、また敵だよ。いこう!」

「ああ」




「ピアーン。まだ続けるのー?」

「ご、ごめんね!」

「鶸萌黄は十分強いだろう」

「でも、カイちゃんくらい強くなりたいの」

「オレと比べても仕方ないだろう。ちゃんなどと言うな」

「いーこと言うじゃん。カイの言う通りだって!」

「そうかな……」

「うん、ぼくもピアンは強いと思うよ」

「テメェは眠いから早く帰りたいだけだろ!」

「……とにかく、そういうことだ。さっさと戻るぞ」

「うん!おやつ、頑張って作るね!」

「あー。やっと戻れる……」

「付き合わせてごめんね、二人とも」

「別にいいよ。ピアンなら」

「ウチも」

「先に帰るぞ」

「あ、待ってカイちゃん」

「ちゃんなどと言うな」

バシッとカイがピアンの頭を殴った。

「いたた……」

「カイ!ピアンに何しやがる!」

「もういないよ」

「何っ!?」

「…………私、初めてカイちゃんに殴られた」

「ピアン、大丈夫か?」

「今まで口だけだったのに……す、少し打ち解けたのかな?」

嬉しそうに笑うピアン。それを見てネロとフロアも笑った。

「そうかもな。じゃあ、早く帰っておやつ作ってやんなきゃな」

「うん。早く帰って寝る」

「テメェはホントにそればっかだな!」

三人も船に戻った。




「珍しい組合わせだな。何をしてるんだ?」

「あ、サラ君。今ね、カイちゃんにお菓子作ってるんだ」

「そうか」

「ちゃんと言うな」

バシッ

「痛いよカイ……君」

叩かれた頭を抑えてからピアンはカイの目の前にケーキと紅茶を置いた。

「はい、出来たよ」

「……」

無言で食べ始めるカイ。

「お、美味しいかな?」

カイはピアンをチラリと見て、「ん」と言ってこくんと頷いた。

「よかった!」

「……これは、どういう状況なんだ?」

「お礼のおやつ、なんだよ」

「よくわからないが……ピアンもカイも幸せそうだな」

「ちょ、ちょっとだけ、仲良くなったの」

「なっていない」

「そうか」

「はい、サラ君もいるでしょ?」

「ああ、もらおう」

「美味かった」

「今日はありがとう。また、作るね」

「……勝手にしろ」

そう言ってカイはいなくなった。

「……可愛いなぁ」

「ピアン、なんだかキャラがおかしいぞ」

「……抱き着いちゃ、ダメかなぁ」

「それはやめたほうがいい」




なんだろうこのグダグダな感じは!
カイちゃんすごく可愛いです大好きです!抱き着きたいのは私です←
今後ピアンは一応カイ君と呼びますが、最初に呼ぶ時は必ずカイちゃんと呼びます。懲りません。
果たして二人は仲良くなれるのでしょうか?←
次に書くのはニトちゃんですね!
人様のお子様を動かすのは緊張しますが楽しいです!コノ様本当にありがとうございます!
























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あきゅろす。
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