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B

「みんな、意識が戻ったみたいだね」

「安心しました」

「ウッドロウさん、フィリアさん」

一番ドアに近かったカノンノが二人に声を掛けた。

「オイラもいるよ!」

「あ、モルモ」

「ウッドロウさん、フィリアさん、ご迷惑をおかけしました」

ルキがそう言うとアルも頭を下げた。

「そういや俺、なんで、いつ倒れたんだ?」

「とにかくお礼くらい言わないとダメですよ、レッド」

「あ、ありがとうございました」

「私たちより、礼ならスタンさんに言って下さい。レッドさんとアルさんを運んでくれたのはスタンさんなんですよ」

「そっか。あとでお礼言いに行こうな、アル」

「ああ」

「あの、私のことは誰が?」

「ナナリーさんです」

「ああ、やはりそうですか」

「あれ?ボクはどうしたんだろ?密林にいたはずなんだけど……」

「そ、それより、コイツは誰なんだ?ムヨ」

リオンがテレジアを引っ張って一同の前に出した。

「知り合いなんだろ?」

「え、ボク知らないよ」

「俺も」

「僕も」

「私も」

「わかんねぇのかよ!」

沈黙。

「…………じゃ、そろそろあたし戻る!」

沈黙を破って立ち上がったのはアーチェだった。

「あ、ああ。わざわざアイリリーからありがとう、アーチェ」

「心配したんだからね!もう、倒れないでよ!」

「ああ、ありがとう」

「じゃあね!」

「私も戻るね、レッド」

「手伝いあるもんな。ありがとう、カノンノ」

「ううん!それじゃあ、失礼します!」

カノンノも走っていなくなった。

「で、お前はなんなんだ?」

「オレは世界樹の精霊だ。ディセンダー達の兄貴ってとこだな」

「精霊?」

「4人が……せめて、ルキはわかってくれるかと思ったんだけどなぁ」

「言われて少し、わかりましたよ。私たちは生まれる前にあなたにお会いしてますね?」

「そうそう。オレが送り出したからな」

「ボク全然覚えてないんだけど」

「俺も」

「僕は……少しだけ。ぼんやりと、だが」

「これで一応証明はされたんじゃないか?オレは精霊。名前はねーけど、テレジアで」

「……ボク、テレジアって名前は嫌だな。世界と同じ名前なんてさ。つけていい?」

「あ、ああ。いーぜ」

「てっくん!あなたは今からてっくんね!」

「てっくん?」

「テレジアのてっくん」

「わかりやすいな。それじゃダメか?てっくん」

「いや、別にいーよ。オレあんま気にしねーし」

「よし!てっくんだな!俺もそう呼ぶからな!決まり!」

「おう、レッド」

テレジア改めてっくんは嬉しそうに笑った。

「長年生きてるけど、ヒトのように扱われたのは初めてだ」

「ええっと、てっくんさんは精霊なんですね?」

「てっくん、君は我々の仲間になると考えていいのだろうか」

「そうだな。可愛い弟や妹もいるし?戦わねーけど、知恵は貸してやる」

「てっくん戦わないのー?」

「フン。戦えないの間違いだろう」

「失礼だな、リオン。精霊であるオレが戦ったら強すぎて相手が可哀相だろ?あまりオレみたいなのは関与しちゃいけねーよ」

「でも、新しい仲間が増えたんだな!これからよろしくな!」

「お前はサッパリしてていいなぁ!よろしくな、ロイド!」

そう言って笑い合うロイドとてっくん。それを見てムヨも嬉しそうに笑った。

「どうしました?ムヨ」

「ううん!なんか、てっくんよかったなと思って!今まで一人ぼっちだったんだなって思うと楽しそうで!」

「そうですね。それに、てっくんがいたから私たちは生まれたんですよね」

「僕たちは感謝しなければならないんだな」

「ひとまず、これでいろいろなことが解決しましたね」

「そのようだな」

「リオンさんの帰還、私たちの意識回復、てっくんについてですね。いろいろとご迷惑おかけしました。私、運んで下さったナナリーさんにお礼言わなきゃいけませんね」

「あっ!」

ムヨが大声をあげた。

「ねぇ、ボク倒れてどうなったの?」

「リオンさんがおんぶしてここまで運んでくれたんですよ」

「リオンが?」

「し、仕方ないだろう」

「それにな、街に戻るまでずっと声をかけて励ましてたんだ」

「リオンが!?」

「あ、あれは…!!早く意識が戻るようにと医療行為の一環だ!!」

「ハハハハハ……リオン君は、どうやらムヨ君を認めたようだな」

「リオン……!!ようやくボクのことを!!」

「うるさい!!くそ……お前なんかあそこに置いて来るべきだった」

「ムリムリ!お前にそんな事出来ないって!」

「レッド……貴様!」

「だよなぁ。だって、リオンの励ましてる時の声といったら……」

「だ、黙れ!!」

「ハハハハ、やられたな、リオン君」

ムヨはみんなにからかわれているリオンに近寄った。

「リオン」

「べ、別に、僕はお前を認めたわけじゃ……」

「ありがとう!」

「…………フン」

はしゃいでいるレッドやムヨを見て、ルキはため息をついた。

「どうした?」

「いえ、私たちの倒れた原因が、ただの疲れであればいいのですが……」

「てっくんが現れたのは、もしかしたらよくないことかもしれないな」

「ええ。そうなんです、アル。世界はより危機に晒されているということになります」

「ひょっとしたら、テレジアのマナはギルガリムに容易く吸収される程に抵抗力が弱まっているのかもしれないな」

「悠長にしてられないということですね……」

「安心しろよ」

「え?」

「お前のことを最後まで支えてやる。お前のことは俺が守ってやるから」

「リッド……」

「僕も、守れるだろうか……大切な人」

「アル?」

「……なんでもない」

こうして仲間が一人増えたのだった。
























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