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また騙される/WA4/アルノー

「アルノーって、すごく勉強が出来るよね」


ポツリと呟けば
本を読んでいる彼は「ああ」と返事をした。


「騙されるより、騙すほうが良いからな」


本を閉じて、こっちを見る。
でも私はすぐに目線をそらした。


「そのせいでアルノーに騙されちゃったわけだけどさ」

「誰が?」

「私」

「は?…何か騙したか?俺」

まぁ金銭のこととかじゃないから
覚えてるわけもないし、本人が騙したつもりじゃないし。

「アルノーが魔法使ってる時とか…。
 今のように真面目に本読んでる時とか…。なんか騙された気分になる」

「何でだよ」


普段は彼は本当に性格が悪い。
ジュードたちがやろうとしていることを、一人冷静になって止めたり
ラクウェルは女の子なのに、女の子に負けるぐらい弱かったり。
おこちゃま扱いしてるジュードにさえ負けてる。


「それなのに、たまに誰よりも輝いてるし…私を支えてくれるから、…かっこいいなぁって思って
 そのせいで私…〜〜〜っ、あーもぅっあんたのせいよ!」

「何言ってんだよ!意味わかんねーって。別に俺が悪いことしたわけじゃないじゃないか」


頭いいのに全然わかんないのかこのおこちゃま!


「あんた、こういうことに関してはジュード並ね」

「なっ!?おこちゃまと一緒にするなよ、…はっきり言えって。俺にだってわかないことはたくさんあるぜ?」

「わかったわよ。言ってやるわよ。よく聞けばいいわよ、そして学べばいいわよ」

何だこいつ、という目で見られているが気にしない。
言ってやる!

「あんたのかっこよさに騙されて…、あー、つまり私はアルノーが好きなのよっ!」

「は?」

「いや、は?とか、素で返さないでくれる?軽く傷つくんだけど」

本を地面に落とした。
やっと衝撃的なことを言われたと気づいたか。

「……本当か?」

いや、そんな真剣な顔にならないで下さい。

「本当よ。悪い?いや、悪いわね、ごめんなさい」

うんうん、そうよね。
迷いがあると魔法がうまく発動出来ないっていうこともあるかもしれないからね。
私の気持ち知っても重荷になるだけで…。

「よし、目を瞑れ」

「は?」

「素で返すな。いいから瞑ってくれ」

何で目?
いいわよ、瞑ってやるわよ!こーなったらやけくそっ!


ぎゅっと目を瞑る。
すると後ろからぬくもりを感じた。

耳元で声がする。
「名無し」

私の名前を呼んだ。

「…あ、あるのー?」

アルノーさんですか、貴方。

「勉強不足らしい」

「いや、何よ急に」

というか私の質問に答えなさいよ。

「教えてくれ。
 俺も同じ気持ちって伝えようとする場合、どうすればいい?」

「!」

え、え、え?
同じ気持ちって、アルノーも。うそ、

「そ、そういう時は三回回ってワン、よ」

「それはないだろ」

「……えーっとね、こういう時は素直に言って欲しいのが私の意見、かな」

「お前の意見だから正しいとは言えないが…、ま、いっか。

 好きだ、名無し」


「!」


ああ、もう
こういう不意打ちが私の心を惑わせる。


「アルノーの、ばか」

「名無しよりかは、マシだぜ?」

「う、うるさいっ!あー、もうっまた騙された!」

「んだよ、騙してねーって!」


はぁ…。
すっかり私は騙されたようです。


この、弱くてだめだめなかっこいい男に――――ね



END


アトガキ
WA4のアルノー夢です。
ゲームなんですが、私の周りに知ってる人がいないということは…マイナーかもしれません。
すももの孝士と同じ声優なので何か縁が!…ないか。

それでは、WA4持ってる人、語れたら嬉しいです。

Aoi


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あきゅろす。
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