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永久の忠誠を

「お前達はずるいな」

言えば、部屋にいた者達、全てが振り返る。
ジョット様は別室でお仕事中で、珍しくも、ジョット様を抜かす守護者全員がこの談話室に集合していたのだ。

そして暢気にお茶を飲みながらも、口から零れ出る言葉は確かにマフィアのもの。
しかしながら、その場に居る者達の容姿は麗しく、音声を退かせば優雅なティータイムにしか見えなかった。
そんな折に発せられた一言に、他の者達は何の事だろうか、と言葉を発した主へと視線を集める。

「ジョット様は何故、私にも守護者の地位を下さらなかったのだろうか」

紅茶を優雅に一口飲むと、音を立てずにカップをソーサーと共にテーブルに置く。
膝の上で軽く手を組ませ、ひとつ溜め息をついた彼は、周りからの返答をせかすように「何故だろう」と付け足した。

周りの者はその理由を知っているのか、互いに顔を見合わす。
皆がお前が言えと目配せしあう中に独りの声が響き、助かったとばかりに視線が集まる。

そこにいたのは、溜まりに溜まった書類仕事に追われているはずの我らがボス。
しかも結構前から居たらしく、彼が手にしているティーカップの中身は3分の1程度しかなかった。

「ジョット様!?お仕事はどうなされたのですかっ!!」

嵐の甲高い声が響いたかと思えば、彼女は美しい銀灰色の髪を振り乱しながら駆け寄ってくる。
しかし彼女がジョット様の元に付くより先に、ジョット様は紅茶を飲みながら廊下を指差した為に、彼女はそのまま部屋から飛び出していった。

どうやら、既に終わらせてあるらしい。
1ヵ月も溜めていた書類の山を、半日で終わらせる。
普通ならば疑うべきなのだろうが、我らがジョット様にとっては普通のこと。

思いつきでとんでもないことをやらかしたり、いたずらの為に選り抜きの部隊を動かしてみたりする方なのだ。
もちろんその間の仕事は丸投げで、そのしわ寄せが後でくるのだが……ジョット様の場合、その作業に終われて苦しむ目にあわないのだから凄いとしか言いようがない。

しかしながら、先日のジャッポーネの遊び(おにごっこだったか)で、屋敷が半壊したときにはあの晴でさえも涙したとか。
ジョット様にも困ったものだ。

そして彼はまた、この場に嵐を巻き起こしに来たのだろう・・・
誰もが彼の口から出る言葉を今か今かと構えるが、霧の守護者と当の本人はどこか違う面もちで彼を見つめた。

彼らにふつうのリアクションを求めてはいけない。
何故なら2人とも、ジョット様信者なのだから……

「7はジャッポーネでは幸運の数字とされているからだ!」

胸を張って自慢気に言う様に感嘆の声を漏らすのは、ジョット様信者の2人だけ。
残りの者は不思議そうに首を傾げるか、言っちゃったとばかりに呆れているかの二通り。

不思議そうにした者達にはもれなく、ジョット様の笑顔が降り注いだ。
ほかの者達にはふつうに麗しい笑顔に見えたが、不思議そうにしていた者達には重い何かがのしかかり、彼らは顔面蒼白となる。

「解りました、ジョット様。私、守護者の地位は我慢します」

しゅんと告げた彼の頭をジョットは撫で、慰める。

そこで彼は確かに守護者の座は諦めた。
しかし、それは守護者を諦めただけであり、やはり彼らを羨む気持ちは消えなかったようで。
彼はそれからも守護者達を名前では呼ばなかったそうな・・・

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あきゅろす。
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