Long 『HUNTER×HUNTER』
3※
風呂を上がってから、少し逆上せてきていた熱を冷ますかのように、手で顔を仰ぎながらさっきの部屋へと戻った。
元から電気を点けてなかった部屋に行けば、さっきまでは明るい所に居た所為で少しばかり視界が闇に包まれる。
夜目が利くと言っても、明るい所から急に暗い所へ出れば、多少なりとも視界が悪くなるのだ。
さっきまで座っていた椅子にまた座ろうとヒソカの前を通り越したら、がっしりと腕を掴まれた。
何だろう、と思ったのとほぼ同時にぐいっと腕を引かれてヒソカの方へと倒れ込んでしまった。
わざとなのか偶然なのか、勢いがつきすぎてそのままヒソカを押し倒した形になってしまう。
「ヒソカ…?」
ぽたりと俺の髪からヒソカの頬に雫が垂れたのが見えて、俺は指でそれを拭った。
腕を掴んでいた方とは逆の腕がいつの間にやら腰に回っていて、腕を掴んで居た腕だって、今は俺の頬に添えられている。
つまりは、確信犯だ。
「んっ…ちょ、ヒソカ?」
ぐいっと頭を引き寄せられたかと思ったら、顔中に降り注ぐ優しいキスの雨。
くすぐったくて笑いながら、少し身を捩った。
もしかしてこのままするの?
だとしたら、もしかして・・・
昔経験した事あるとは言え、好きな人と、なんて甘ったるいもんじゃなかったし。そんなの記憶の彼方へと消え去ってしまった。
ましてや、男同士な訳で…あれ以来は女しか相手してないんだからな!?
だから、どうしたものかと、戸惑うのだ。
「なんか話せ、ばか」
何も言わずにキスばかりをするヒソカの口を軽く手で覆えば、目が合った。
顔がえろいぞ、このやろー。
ベロリ、と手を舐められて、俺は慌ててヒソカの口を解放した。
そのまま視界が揺らいだかと思えば、立場が逆転していて。
今度はヒソカのバックにはベッドではなく、天井が見えた。
「いいかい?」
「なっ…!!」
俺の手を取って、ちゅっと軽く口付けての問い。
顔が熱くなったのも、珍しく焦ってしまってるのも…
すべてヒソカの顔が、行動が、言葉が、エロイのが悪いんだ。
「・・・好きに、しろよっ」
真っ赤になってるかも知れない顔を見られたくなくて、横に向けて小声で言った。
本当の事を言えば、俺だって健全な男子高校生だし。
こっちに来てからそう言う事は全然だったわけで。
少なからず、望んでいた事。
特に、ヒソカを好きだと自覚してからは…
なんて考えていたら、ベロッと喉を舐められてしまった。
横を向く、というのは同時にヒソカに喉元を晒してのだ、と気付いた時には時既に遅し、だった。
「ひゃ!?…な、なな」
ばっと首を手で押さえて、驚いてヒソカを見れば、面白そうに笑ってるし。くそう…
すっと服を押し上げてはい上がってくる冷たい手に、身体が跳ねた。
それを楽しむかの様に笑いながら、遠慮なくヒソカの手がどんどん進んでくる。
女じゃなくてもそんな風に触られれば、誰だって感じるんじゃないだろうか。
「っ…!ぁ…」
胸を揉むかのように動いていた手がその突起を弄りだして、思わずこぼれ落ちそうになった喘声を必死で堪える。
やっぱり、それはさすがに恥ずかしい…
胸を弄っている方とは逆の手で、つつっと俺の唇をなぞって、そのまま指を突っ込まれた。
その所為で少し空いた口からは、恥ずかしい声が出てしまう。
「声殺さないでよ」
「ぁっ…ん、ぅ…」
妖しく笑うその顔にさえも反応してしまう辺り、俺も相当のもんだと思う。
それでもいい。
今、よければいいや…
口に突っ込まれていた指が引き抜かれて、代わりと言わんばかりにヒソカに口付けられる。
縦横無尽に動き回る舌に翻弄されるばかりなのが少し悔しくて、俺はヒソカの後頭部に腕を回して引き寄せた。
恥ずかしさに閉じていた目を、引き寄せるのと同時にそっと開けてみる。
目を閉じているヒソカの顔が超ドアップになっていて、俺は目を開けなければ良かったと思う半面、見るのをやめたくなくて、目を閉じれなかった。
すれば、俺が見ている事に気付いたのか、ヒソカも目を開けて、目が合ってしまった。
顔なんて近すぎて殆ど見えないのに、笑った気がした。
「っ!?ふぁ、ぁ…んぁ」
長い長いそのキスで、酸素が足りなくなってきた頭は考える事を段々とやめていってしまう。
ただ、快楽に溺れていく。
「いい顔…」
キスが終わって、惜しむような一筋の銀糸を切りながら、妖しく微笑んで告げられた言葉。
俺は一体どんな顔を晒して居るんだろう、なんて思ったけれども、それよりも・・・
いつの間にか下着も脱がせれていて…露わになった俺自身を握るヒソカ。
「待っ、握るな…!」
何でいきなり握るのか、と俺はヒソカの手へと手を伸ばした。
掴んで制止したら、ヒソカはそのまま急に激しく扱きだす。
「あっ!?や…ちょ、ぁあ!」
片手で胸を弄っていただけだったから油断していた上半身にも、もう片方の胸に吸い付かれて大きく声が漏れてしまった。
快楽が込み上げてくるのと同時に、羞恥も頭を支配していく。
たとえこの行為が、憂さ晴らしのようなものだったとしても…今の俺にとってはどうでも良かった。
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