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Long 『HUNTER×HUNTER』
20
何かあったのだろう、渋滞ともどこか違う雰囲気で、車は道路に止まっていた。
この中のどこかに、ノブナガ達が居るはず…っと、小走りに渋滞の前の方へと向かっていた。

その原因を見つけるのにも大して時間は掛からなかったし、理由も解った。
車の前に首が切り落とされた死体を前に立っていた事から、クラピカと間違われたのだろうと推測できる。
しかし、その次の行動が解らなかった。

「パクッ…!?」

銃をノブナガとコルトピに向けて、撃ったのだ。
俺は慌てて、衝撃に少し倒れ気味の2人に駆け寄って、顔を伺ってみた。

おかしい。
額を打ち抜かれたにも関わらず、身体に異常を来した様子はない。

おろおろと見ていた俺が振り返れば、パクノダは大丈夫、と一言。
少し安心して、俺は2人をまた視界にとらえた。
・・・あれ?

どうやら、パクノダが撃ったのは念弾(もしくは、その一種?)らしい。

パクの能力から考えると・・・
自分が見た記憶を見せるとか、にしてそうだ。

「記憶を、見せる弾?」

「ええ」

「なる程。こりゃあ便利だ…」

記憶を見終わったらしいノブナガの声に俺はパクからまた視線をノブナガ達に戻す。

良かった、と胸を撫で下ろしたのはその一瞬。
次の瞬間には継いで告げられた台詞に、心臓が跳ね上がった。

「こんな面してやがったか、クラピカさんよォ…」

ばれた。
顔も名前も、もしかしたら俺すら知らない能力でさえも。

殺すまで忘れないと言ったノブナガの表情は怒りと憎しみに染まっているように見えて、俺は何も言えずに、伸ばし掛けた手を引っ込めた。

言えるはずがない。
こんな表情の人に、クラピカを殺すな、だなんて。

でも、クラピカには死んで欲しくない。
俺の作戦に引っ掛かる。

パクが電話で誰か(恐らく団長)と話しているのにこっそり聞き耳を立てながら、俺は3人について行く事にした。

なぜなら、団長達はゴンとキルアを捕縛しているだろうし、ベーチタクルホテルに行くと言った。

つまり、2人を助けるならそこに行かなければならない。
そして、もしかしたら、そこにクラピカとレオリオと、キルアと一緒に居た人も来るかもしれない。

殺させない。傷つけない。
少しでも可能性があるのなら…俺は、諦めない。

『ユウキ!!』

『どうした?』

俺は少し歩く速度を落として、サングラスを掛けた。
フゥとサンの視界に移ったのは、小綺麗な室内風景。
ホテルのロビーだろう。

2人の視界に意識を集中させれば、案の定捕まったゴンとキルア。
そして、どこか怒鳴ってる様子のレオリオ。
なんて言っているのだろう?

『あのね、部下がホテルを間違えたんだって』

『それで、目瞑るのは今回だけだから』

『7時に来ないとクビなんだって』

『部下って誰?』

『んー…待って、考えるから』

2人の言葉を何回も繰り返してみながら、考える。
もう少し、解りやすく教えて欲しかったけれど…しょうがない。

直接聞いた訳じゃないから、言葉の端々に違いがあるかも知れないが、言い回しや、語感の違いはしょうがない。

レオリオに部下は居ないだろうし、居たとしても、今、この状況でホテルに呼ぶ必要はない。
つまり、ウソだ。
そして、だとしたら、それは作戦の知らせ。

整理しよう。
『7時キッカリに目を瞑る』必要のある事が起こる、だろうか?
つまり…明るくなる(閃光弾系)、暗くなる(照明を消す?)のどちらかだろう。

『2人も、7時少し前から目を閉じておいて』

『わかった』

作戦決行は、7時。
俺はすっと携帯を取り出して、時刻確認。6:53分。

間に合うか、どうか…
間に合ったとして、助けられるか…
否。助ける、のだ。

「ユウキ?どうかした?」

毛むくじゃらなのにどこか可愛く思わせるのは何故だろう、なんて頭の隅でオモイながら、俺は携帯をコルトピに見せた。
何も見ていない、と思わせる為。

「充電しておけば良かったな、と思って、バッテリーの確認」

残りはマークの半分くらい。
ウソは言ってないでしょ。

「ふぅん…」

興味の対象がつまらない事だったからか、コルトピはすぐに携帯から視線を戻した。

ポケットに携帯を戻しながらまた歩き出せば、しばらくしてホテルらしき建物が見えてきた。
近づいてみたらさっき聞いた言葉と同じその文字を掲げていたそれに、俺達は入った。

「パク達が来た」

「お!?なんだオメーら。また捕まったのかよ!?」

最初に気付いたのはシズクで、次に言葉を発したのはノブナガ。
ゴン達が居た事に喜んでいるで、幾分かご機嫌そうな顔で話しかけている。

時計を見たらあと2分強。
惹かれ合う運命だとかぬかしてるノブナガと、それに素っ気なく返すキルア。

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