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Long 『HUNTER×HUNTER』
18
「・・・電車とか、乗れば早かったじゃんか。俺」

やっと着いた街はすぐに駅が見えて、何の気なしに線路の先を眺めていたら、俺が来た方角へと延びていた。
アジトから出てすぐ、とは言わないまでも、途中で駅とかあったんじゃなかろうか。
なんて、今更ながら後悔していた。

「走ってた俺がアホに思えてきた・・・」

だんだんと恥ずかしくなってきた俺は、誰も聞いていないのに誤魔化すように空笑いをしながら赤くなった頬を手で覆って隠した。

取りあえず現状を把握しようかと、サングラスを掛けてみる。

イチから順に見ていこうとすれば、何故か一台の車を徹底マーク。
不思議に思ってそれを全視界に変えれば、レオリオが運転している様が見える。

帽子を深く被って、でっかいサングラスを掛けたロングヘアが隣に座っているが…後ろにはゴンが居る所を見る限り、恐らくクラピカの変装だろうと推測できる。
そして、炎狼は車にギリギリついて行ける速度が出せる、と頭に追加しておく事にしよう。

続いてフゥを見やれば、団長を含めて半分位の旅団メンバーが走っている所が見えた。
俺の予想通り、団長自らどこかへと赴いている。まあ、大行き先のの予想は出来るものの…あくまで予想の域を出ないから、考えないでおこう。

そして、キルアは…と、サンの方を見やれば…何故か誰かと一緒に居て、何かを追っているのは解るのだが…誰も見当たらない。

まあ…追っているのは団長達だろうし、キルアの様子からしても、その人は敵ではなさそうだ。それに、サンからの連絡もなかったしね。
だから、サンの方も大丈夫。
って事で・・・最後はシイ。

アジト内には団長達と行かなかった人が待機していた。まあ、当たり前とも言えるが。
少なくとも、フェイタンが待機組で助かった…とも言えるかな。

サングラスを外そうとしたら、団長達が電車に乗るのが見えた。
似合わない!なんて普段なら思ってただろうけど…今の俺はそんな事をいう余裕はない。

「本当に電車があったー!!」

くそう・・・(泣)



団長達が降りる予定の駅の辺りまで来れば、イチに声を掛けて現在地を問う。
麻植の予想も当たっていたらしく、案外近くにいたようですぐにお目当ての車を発見する事に成功した。

コンコンッと窓をノックすれば、俺は返事を聞かずに勝手に乗り込む。
後ろの席に腰を下ろしたら、イチを呼んで俺とゴンの間に座らせる。

「現状は?」

「ユウキ!?」

何に対するものかは解らないが、ゴンとレオリオは俺が来た事に驚く。
レオリオに至ってはぐるっと振り返って、座席から身を乗り出してしまっている。

俺はそんな2人に笑って頷くと、もう一度同じ問いを投げかける。
それだけですっと元の緊張した顔に戻れる辺り、立派なもんだ。

「あの駅から旅団が出てくるはずだ」

すっと指し示された先には、たしかに駅。
フゥが見た物の記憶とあわせても…間違いがないだろう。
俺はこくりと頷くと、小さくため息を吐く。

「止めろ、と言っても無駄だろうし…もう、手遅れだろうな」

「ああ。やめる気は、毛頭ない」

じっと窓の外を見つめているまま離すクラピカに、俺はやっぱり、とまたため息を吐く。
解っていたけれど…やはり、そう簡単には進みそうもない。

クラピカが何かに気付いたのを感じて、俺は最後にそっとイチを撫でて静かに車から降りる。
すーっと違う方向へと向かいながらも、ある程度の距離を保って団長達への注意も怠らない。

走り出したみんなに、俺も並んで走ってみる。
ゴン達の車の位置を掴ませない為に、タイミングを見計らって別方向から、な。

「で、何を追ってるの?」

「緋の目だ」

「ふうん…」

隠さないんだ、なんて今更な疑問は置いといて。

本物はみんなが盗んだんだろうし、あの時思った通り、コピーの能力者が居ると見てまず間違いない。
そして、そのコピーが現在ドコにあるかを知る事が出来る、そして今居るメンバーの中にその能力者が居る、だろうな。

「それって、鎖野郎を追ってるってこと?」

「そうだッ!!あの野郎…」

また怒りを引き出してしまったのか、またイライラした雰囲気になってしまったノブナガ。
俺は苦笑して、聞かなきゃ良かったなぁと、思わされてしまった。

今もしも彼らに本当に緋の目を持っているのが鎖野郎か、と聞かれたらさっきまで居た場所を教えてしまいそうでもある。

俺は走る速度を緩めると、チラリと振り返った彼らに手を振って見送った。

ごめん。
クラピカの居場所を教える訳には…いかない。

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あきゅろす。
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