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Long 『HUNTER×HUNTER』
16
予言の穴を探すしかない。
こんな結果が出たからって、諦めてたらキリがない。

読み返せ。考えろ。
あるはずだ。矛盾点が…

壁に背を預けながら、用紙の文字を何度も手でなぞりながら読み返す。

「…ぁ」

孤独がダメなのに、何故、どちらの作戦を選んでも悪い結果になるんだろう?

俺が強くこの世界を嫌がるような思いを持った時、俺は排出される。
それならば、俺はどちらの味方も出来ない事になる。

なら何故、どちらを選んでも誰かが傷付く事になる?
最後の週の旅立ちに選ぶ連れはどちらか、と言うのも気になる。

うーん・・・
こういうのはどうかな。

「みんなーぁ」

それぞれ思い思いの事をしていた旅団のメンバーが、なんだと意識をこちらに向けてくれる。
俺は紙から視線をあげて、みんなに向かって微笑み、首を傾げた。

「死んでくれない?」

殆どの人の意識が殺気の籠もったものになり、俺は苦笑する。
違う世界から来たとか、ここは作られた世界とか、言っても意味は成さないだろうから…俺はとりあえず掻い摘んで話す事になった。

「俺、考えたけど…多分、鎖野郎知ってるんだよね」

あ、ノブナガが刀に手を掛けた。
俺はすっと手をそっちに翳して、制止させる。
目線は、団長だ。

「で、この小さき友たちはきっと、鎖野郎と手を組む。で、俺がそいつらに味方したら、旅団の中で命を落とす人が増えるだろう。だけど、こっちに味方したら友たちが大変なわけ」

「だからどうしたっ」

イライラを隠そうともしないノブナガに、俺は苦笑が漏れてしまう。
最後まで聞いてよ…

団長がノブナガの方に手を伸ばして、目で止めろと指示をする。
そのお陰でノブナガは舌打ちをして、とりあえず刀からは手を退けてくれる。

「で。アンタ等が今死んだら、何も起きなくて済むかなーって」

「つまり、俺達を切る方を選んだのか」

ん?…あれ?何か違う?
俺はむむーっと首を傾げる。45°

「あ!違う違う。本当に死ねっつってんじゃなくてさ?」

遠くでクスリ、と微笑んだヒソカが見えた。
カードを一枚、ひらりと回してこっちを見てる。
ああ、そう言えば…ダメだった。

俺は盛大にため息を吐いて、顔の前で適当に手を振った。

「やっぱ、今のナシ。アイツ等だって同じ様な事に、二度も騙されたりしないだろうし」

みんなの意識がまた戻ったのを感じながら、俺は小さくため息を吐いた。

ヒソカってば、クラピカもなんか気に入ってるっぽいし。
ヒソカがばらしちゃったら意味がない。

さて…どうしたもんかね。
また新しい策を考え・・・ん?

ゴン達の味方をすれば旅団に被害が出る。
旅団に味方すればゴン達に被害が出る。
なら、独自の作戦を決行すればいいんじゃねぇの?

死ぬ事になる人全ては救えないにしても、ある程度を救う事にして…んで、最後の旅立ちってのは、俺以外の人間が誰か1人でも居ればいいんだし。

「だんちょー!占いありがと!みんなバイバイ♪」

俺はいそいそと手紙をしまい、身支度を軽く調える。
ここから出ていく準備?

その様子を見て、さっきまでの発言を警戒していたフェイタンが目の前に来た。
パシッと掴まれた手を払う事もせずに、ただ捻りあげられない様に力を入れてその場に制止させた。

「どこ行くね。ワタシ達売るいう事か」

ぐぐっと力を込めて動かそうとする腕に、反対側への力を入れる。
フェイタンは流石というか、なんというか…すごい力持ちさんな訳で。腕が痛いなんてもんじゃねーよ(笑)

「違うって。どっちに味方してもどっちかに何か起こるなら、俺は単独で行動しようかなっと」

ギリギリを越えた効果音は、ビシビシとでも言うか…何かが切れそうな、折れそうな、そんな音が聞こえてくる。
警戒されないように笑顔を崩さないようにしてたけど、少し眉間に皺が寄ってきたかもしれない。

ふと、思い出したようにシャルが声を上げる。
助け船だと良いなぁ…とか、思い縋るようにそちらを見やる。

「でも、孤独は世界の終わりって書いてあったでしょ?」

「うん。でも、それは最後の週の発つのなら、だと思うし。あいつらもだけど、あんた達にも…もう死んで欲しくないんだよなぁ。だから、可能性があるのなら俺はそれを実行する」

今まで以上に腕に力を込めて腕を引けば、ぶちっという音と共に俺の腕は自由を手に入れる。
しかしそれは、腕から血がだらだらと流れる結果になったが。

フェイタンの握力に勝った事か、俺の今の発言かは解らないが…皆はどこか驚きの色を顔に出していて。
俺は痛いなーなんて、腕をじぃっと見ていた。

「俺は!旅団のメンバーではないはずだろう。団長さん?あなたの命に従う義理はないはずだ」

何かを言い掛けた団長の言葉を遮って、俺は少し張り上げた声で言い放つ。

団長を睨んでのその言葉に、幾分かみんなの殺気が肌で感じられる程までになる。
俺はそれを遮るように、にこっと笑って付け足す。

「だから、死ぬなよ?」

言うが早いか、俺はくるっと体を返して進む。
誰の声も動きも感じない所からして、とりあえずは許可が下りたと見てもいいのかな?

雨が降る外に出て、俺は振り返らずに街へと向かう。
どうしてだか、笑いがこみ上げて来て、小さく笑い声が零れてしまう。

端から見たらただの変人だろうな…とか、思ったけど止められそうにない。

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あきゅろす。
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