Long 『HUNTER×HUNTER』
11
「仲間の為に泣けるんだね。血も涙もない連中だと思ってた。だったらなんで、その気持ちをほんの少し…ほんのすこしでいいから、お前らが殺した人達に…なんで分けてやれなかったんだ!!」
怒りからか何からか、なんて解らないけれど、ゴンはその言葉の直後にノブナガの手をテーブルに叩きつけた。
「お前、調子乗りすぎね」
すっとゴンの背後に回ったフェイタンがゴンの腕を後ろに締め上げる。
「ゴン!!」
「動くと切る」
ゴンに駆け寄ろうとしたキルアの背後にも、ヒソカが回ってトランプを首筋に宛がう。
助けた方が良いのは解ってる。
でも、何故か大丈夫な気がしてたのも…たぶん嘘じゃない。
ゴンの腕からは鈍く締まる音が聞こえる上に、キルアの首筋からは一筋の血が見える。
なのに何故か、助けるのは本当に困った時以外はいいや…とか。
案の定とでも言うのか?
ノブナガがフェイタンを止めて、コインで決める事となって、ノブナガの勝ち。
ゴン達はひとまず解放されたみたいだ。
ていうか、あのコインってオリジナルデザインですか。
みんなの会話を聞きながら、オレは手近に落ちていた石を手のひらで転がしていた。
どうも…悪い方にはいってないようだ。
意見が纏まって、ゴンとキルアが動き出した時。
ノブナガの制止の声。
「そいつは帰さねェ…ボウズ、旅団に入れよ」
「やだ」
・・・ふぅん。
さっきの話しとも併せて考えると、ウボォーと似て見えたゴンがお気に召したようだな。
まあ、ゴンに散々に断られてるみたいだけど。
「よォ……団長が戻るまでこいつらここに置いとくぜ。入団をすいせんする」
急に笑い出したかと思えば、今度はそんな台詞・・・
ゴンの事だからいくら捕まってても、それこそ殺されたって本当に入らないだろう。大丈夫かな…
「本気かよ!?」
「団長が認めるハズないね」
「まあいいけど。そいつらが逃げてもアタシらは知らないよ」
「見張りはお前が1人でやれよ」
そう言ってみんなどこかへと出ていく。
最後に振り返ったフランクリンは、やっぱり優しいんだろうなぁ…なんて、勝手に思っておく事にする。
「ふぁいとー」
誰に言ったのでもないけれど、ゴンとキルア、それにノブナガが振り返ったから、ひらひらと手を振ってみせる。
ゴン達には逃げる時の応援で、ノブナガには逃がさないようにの応援だ。と、いう事にしておく。
本当に、どうしたんだろう…?
ノブナガはゴンとキルアを別室に連れて行ってしまったし…
ついでに「俺は気にするな」って言っておいた。
みんなは作戦会議?で、散ってしまったし。
俺は出ていこうとしていたヒソカを捕獲した。
「俺は何すればいいのー?」
ヒソカにしたのは選んだんじゃないって言ったら、嘘になるけれども。
最後まで居たのがヒソカだったから、と思っておく事にする。
「さあ?何でも良いんじゃないかな」
どこから出したのか…否、さっきまでキルアに向けてたカードかな。
それを口元に当てて振り返ると、にこっと旅団顔で微笑む。
ちょっと、イラっときた・・・
「その顔ムカツクー」
びしっと指差して言えば、一瞬驚いた顔をしたヒソカは、すぐに俺の目の前まで移動してくる。
くいっと顎を掴まれて、俺は抗う事なんてせずにそのまま顔を上げる。
あ、久しぶりに見るあの優しい笑顔…やっぱり好きだ、なんてね。
「んっ」
久しぶりのキスに、俺は一瞬身じろいだけど、そのままヒソカの服を掴んだ。
ぐいっとヒソカを引けば、そのまま倒れ込んできて。
少し驚いた顔のヒソカが、可笑しくて笑った。
「…誘ってるの?」
「そうかな?」
真上にあるヒソカの後頭部に手を伸ばしてぐっと引き寄せれば、本能の赴くが儘に深く口付ける。
こんなサービス、二度と無いと思え。
「ふぅ…んっ・・・っぁ」
すすっとヒソカの腕が下腹部に伸びてきた所で、俺は挑発するようにくすっと笑った。
「行かなくて良いのかなー?」
ぴくりと反応したヒソカに、俺はまた笑った。
そして、最後に頬にキスをして、ヒソカを押しつつ体を起こす。
少し不機嫌っぽいヒソカは、どこか幼く見えて…ちゅっと音を立てて軽いキスをもう一度。
なんでだろう…ヒソカが居るだけで、どこか幸せになれる・・・
「いってらっしゃーい」
ご機嫌になった俺とは正反対に、またつまらなそうになったヒソカに手を振った。
こんな風に、からかうのも悪くない。
ふと、ヒソカは俺の腕を引いて、再び深い深いキスを仕掛けて来た。
「んっ!?ふぁ…ぁん」
ああ、ダメだ…
ヒソカの本気のキスは頭の、体の、芯がとろける…
頭がぼんやりとしてきて、このままいいかなー…なんて思い始めた瞬間。
ぱっと離れたヒソカは、唾液で妖しく光る唇を舐めて笑う。
エロい!その顔エロい!!
「じゃ、行ってこようかな♪」
「っ…!!あほ」
うー…
仕返しされた・・・
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