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Long 『HUNTER×HUNTER』
10
「あ。ヒソカー。トランプしよう」

あくまで、さり気なく。
偶然視界に入ったヒソカがトランプを切っていたのを目撃した俺は、偶然思い立ったようにそう言った。
本当はチャンスを窺っていたなんて、思わせないように・・・

「あいつとするのか?」

「うん。だって暇だもん」

フランクリン、名前の通りフランケンシュタインみたいに見える(失礼)けど、優しそうだ。
変態故の心配か、仲間から孤立してる故の警戒か、どちらにしろ、声を掛ける時点で多少なりとも俺なりヒソカなりを気にかけているのだろう。

俺は立ち上がって、こっちを見たヒソカの元へと向かおうとして、ふと振り返る。

「シャルもする?」

「…いいよ、僕は」

「そっか」

ここ2日?で解った事は、マチはヒソカをただの変態(失礼?)としか思ってなさそうだってこと。
少し、嬉しいなぁ…とかね。いや、失礼か。
んで、他の人達も勿論、あまりヒソカを快く思ってないらしい?
それが解っただけでも、このアジトにずっと逃げずに居た甲斐があるってものだ。

瓦礫の中を適当に登っていって、ヒソカの隣に座る。
手を差し出せば、切り終わったらしいカードをパラパラと手渡してくれる。

挨拶とか、特になし。
ただ、君が居ればいい…なんて。

ポーカーには自信があった。
あっちの世界に居た時は、表情に出さないのは体に染みついていた所為で。

意図を読み取れず、演技も上手ければ…ぼろ儲けだった訳で・・・

「くっくっく…ボクの勝ち」

「また負けたぁ…」

なのに何故かな?
簡単に負けてしまった…!!

「あーあ…」

俺の今までのポーカー経験を否定されたような気がして、俺はつまらなくなって口を尖らせた。
まあ、それでも次の対戦の為にカードを切ってるんだけども。

ん?
帰ってきたみたいだ。

俺が気付いた時には、もちろん他の連中も気付いている訳で。
全員の顔つきがまた変わってくる。

しょうがない。
トランプはおあずけ…

俺はとりあえず一纏めにしたトランプの束を、ヒソカに渡したのだった。

入ってくる気配は…3、4…6?
団長を含めたとしても多いし…
なんか、違う気がするんだよなぁ…

その疑問は一拍後に解消された。
団長以外の4人に連れられて、ゴンとキルアが入ってきたのだから。



「あっ」

ヒソカを見つけてしまったゴンは声を上げた。
ノブナガに問われて、フィンも振り返る。あーあぁ…

俺はドアから見て、ヒソカの後ろに居た訳で。
俺が出ていこうかな…とした時。

「あ!あのときの女!!」

キルアの声に、俺はホッと胸を撫で下ろした。

そういえば、シズクとは腕相撲の時に会ってたっけ…
それに、上手い具合にヒソカの前の方に座っていてくれたし。

・・・本人は忘れてるけどな;

ふと、それを知っているのなら、今説明しているフェイタンやフランクリンにも俺はバレてるかも知れないって事か。
あ。でも、フェイタンはオレの事知らないっぽかったけどな。

ノブナガと話してるゴン達を見て、誰にも聞こえないようにひっそりとため息を吐くと、ヒソカの横からひょっこりと顔を覗かせた。

「あ、やっぱり。ゴンとキルアじゃん」

「ユウキ!!なんでここに!?」

二人して驚きに声を荒げたけど、まあそれも無理はないよなぁ…
急に消えたかと思えば、再会は旅団のアジト。

俺は苦笑しながらもう少し手前に座り直して、後ろ首を掻いた。

「いやー…メール、返事できなくてごめんな?」

「それはいいけど…」

まだ困惑した表情が顔から抜けきってないゴンは、言葉の終わりがどこか濁っている。

「お前らも知り合いか…よし。オレと勝負だ」

言うが早いか、即席のテーブルを用意して、2人は手を組んだ。

何度目か解らないが、またゴンの手が倒される。
オレは足を組んで、その上に肘をついた上に顎をのせて眺めていた。
足を動かさないように、手を動かさないように…

表面上は冷静に見えて、その上でオレが体を意識的に留められそうな最良の格好。
動かそうとしても、一瞬の隙が出来そうだしね。

ウボォーギンが鎖野郎にやられた、と泣いたノブナガ。
話しを聞く限り、段々とクラピカと繋がっていってしまう。

「知らないね。たとえ知ってても、お前らなんかに教えるもんか」

言いながらゴンの手に力が籠もる。

ああ、そうだった…
ゴンだったもんなぁ…

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