Long 『HUNTER×HUNTER』
9
作戦変更…?
そんな声が聞こえた気がして、俺は目を覚ました。
「ん…」
目を擦って伸びをしたら、辺りは明るくなっていた。
「あれ?」
なんか聞こえた気がしたけど、みんな誰と話してるわけでもないみたいだ。
「あ、ユウキ。起きたんだ?」
「うん。誰か話してなかった?」
「ううん?それより、熟睡してたね」
「うん」
だってみんな、警戒はしてても殺気は飛ばさなかったしね。
なんか、俺ってばいつの間にやら信頼獲得?
まあ、ホントのトコは俺ならその気になればいつでも殺せるからだろうけどね…
ごそごそとポケットを漁って携帯を取り出すと、電源を入れてみる。
まだ朝だな…
ふと、ちかちかと点灯したかと思うと、一気に数通のメール。
内容は確認しなかったけど、ゴン・キルア・レオリオからの物ばかり。
どうしようかな…
連絡入れてもいいんだけど…
俺が携帯を取り出してからというと、変な連絡でもいれないかと警戒されてる。
まあ、当たり前だろう。
情報を漏らされても、助けを呼ばれても、困るだろうしね。
・・・少しは。
俺は内心でゴン達に謝って、再び携帯の電源を切った。
まあ、きっと遠くないうちにまた会えるだろうしね。
背中痛いなぁ…なんて、背中に手をやりながら欠伸をかみ殺す。
ふと、気付いたけれども…足りないのだ。
「ねえ、シャル?マチとパクノダとフィンとノブナガと団長が居ない」
それ以外は待機でも言い渡されたのか、昨日とあまり変わらない雰囲気で座っている。
シャルは特に気にする風でもなく、普通にこちらを見てきた。
「うん。出かけてるんだ。用でもあった?」
「ううん。居ないなーと思っただけ」
頼むから!
ゴン達にもクラピカにも、見つからないでくれよ…?
立ち上がって体についた砂利をはたき落としたら、近くにあった大きな瓦礫の上に腰を下ろす。
その様子を見ていたシャルが、近くの壁に背を預けた。
しばらくそのままぼーっとしてたけど…
その後シャワーも借りたし、戻ってきて同じ場所に座って、思い出したように俺は言った。
「暇だー…」
「さっきまで寝てたでしょ」
そんな苦笑混じりに言わなくても…
俺は口を尖らせて、ブーイングをしてみた。
だって、起きてからもそれなりに時間が経ったものの…みんな特になにをするでもなく、ただ座ってるんだもん。
ふと、上から名を呼ばれて、俺は暇から解放されるかも!と喜んで顔を上げた。
「鎖使い知らない?」
その言葉に、僅かながらみんなの意識がこっちに向いてきた。
俺は鎖、と言う言葉を反芻しながら、記憶を探る。
「念使いで、でしょ?」
「うん」
鎖を使うなら、具現化か操作系?
あー…でも、一応、特質系という可能性もあるのか?
「うー…ん?居ないと、思うけど」
「そっか」
なんか、今までよりも更に優しい感じに笑ってるんですけど。
なんなんだろ?
念の為に確認…
ゴンは強化系。
キルアは変化系。
レオリオはそれ以前(笑)
クラピカ…は、解らないしなぁ…
でも、なんで急にそんな質問?
他のみんなもその質問に意識を向ける位に、今重要な人物…?
まさか…
本当に、クラピカが鎖使いで、既に何かを…した…っ!?
まさか、なぁ…
考えられない事じゃない。
けど、違っていて欲しいと思うのは、なんでだろう…なんて、理由なんて簡単にあげられるものじゃない。
「鎖、ねぇ…」
「どうかした?」
「別に」
ただ、具現化系だった場合は、それを強くイメージするとか、必要じゃなかったっけ?
俺はある意味、存在自体が異質な訳だから、置いておくとしても…
クラピカは、なぜ鎖を選んだ…?
あいつの中の闇と思惑なんて、俺には計り知れないもの。
今も尚、過去の鎖に捕らわれたままなのだろうか・・・
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